黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

酒通信 城攻め 1

又、興味の無い方には、

全く関係の無い話を書きますが、

まあ、変人の与太話ですので、

ご了承下さい。

 

膨大な知識を必要とする。

ウイスキーの世界、その事で、

すっかりBARが様変わりした。

昔は、同じ物を飲んで、

 

同じ話をして、同じ事で笑って、

平穏無事に毎日が過ぎていたが、

今は、正に戦国時代、

侍達が、目を光らせ、

 

熱心に、ウイスキーの勉強の為に、

現れ、道場のようになり、

故に、こちらとしても、

それに応えねばと、

 

日々、情報を漁り続ける。

まるで、丸腰で戦場を駆け抜けるかのように、

しかし、結論から言うと、

答えなど無い世界、

 

どこまで深掘りしても、

ゴールと言う物は無い、

冷静に考えると、一体何を求めているのか?

一体何が知りたいのか?と、言う事となるので、

 

BAR本来の楽しみ方も忘れずに、

力まず、急がず、リラックス、

BARに来て、逆にストレスに、

ならぬように、ゆっくり行きましょう、

 

知識の蓄積とは、曖昧な例え話だが、

城攻めのようなものかと、

戦国時代の城攻め、まずは街道を封鎖し、

外堀を埋め、内堀を埋め、本丸に入り、

 

天守閣へ駆け上がる。

が、決して城主を倒す事が目的では無い、

あくまで、まずは本丸に入る事、

そして、城下町から見上げていた。

 

天守閣を、今度は、天守閣から城下町を見る。

当たり前だが、そこには全く違う景色が、

広がっている。視点を変えるための努力が、

知識の蓄積だと、私は思う、

 

理解して飲むか、何も解らず飲むかの、

違いである。知識を付けて飲む一杯は、

何も解らず飲む一杯とは、遥かに違うと言う事である。

そこで、まずは本丸に入る事、

 

その為には、外堀、内堀を、コツコツと埋めなければ、

ウイスキーは、ウイスキーを飲んでいるだけでは、

理解度は乏しい、実際、シェリー樽が、

好きだと言うが、シェリー酒を、

 

飲んだ事が無い人も多いのでは、

そこで、まず樽の内側の話をした。

シェリー、ポート、マデイラ等、

その時に、こういう本を紹介した。

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しかし、これも近年では、

一部である。ソーテルヌやマルサラ、

バローロ、アマローネ、コニャック、

ラム、IPA、そしてバーボン等々ある。

 

しかし、厳密な事を言うと、

シェリー酒と言っても、

色んなメーカーがあり、

当然だが、作り手によって、

 

味わいが違う、バーボンも、

当然、甘口もあれば、辛口も、

シャープな物も、濃厚な物もある。

と、なると、与える影響も違うだろう、

 

どの銘柄の樽に入れたのか、

公開されていない以上、

そこは、想像と言う曖昧な事になる。

しかし、それよりも大事な事は、

 

内側の話では無く、

樽本来の話、材質は何か、

形状は何か、大きな樽になれば、

木にウイスキーが触れる面積が少ない、

 

小さな樽なら、面積は大きくなり、

樽の及ぼす影響が大きくなる。

例えば、10年程前、スプリングバンクから、

リリースされた。

 

ランドレッツ&キルダキッズ、

と言う、二つの小さな樽で、

熟成させた物があったが、

驚くほど、木香が強く、

 

まるで、森の中を彷徨っているようだった。

記憶に残るウイスキーの一つだ。

樽の内側、そして、外側の樽、

外堀を埋める為にはこの本、

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加藤定彦氏の「樽とオークに魅せられて」

まあ、木や樽の事を、ここまで詳しく書かれた本を、

後にも先にも、私はこの本しか知らない、

と、まずは知識と蘊蓄は、

 

私は、違うと思っている。

学術的な事や、研究の結果は知識であり、

蘊蓄とは、その知識から、派生した物事だと、

認識し、区別して整理している。

 

例えば、現在の研究では、

アメリカ産のホワイトオークが、

熟成に適していると、又、研究が進めば、

変わるかも知れないが、

 

これは、知識の範疇だろう、

が、大昔、シェリー酒には、そのアメリカ産のオークが、

使われていた。現在は多様化していると思うが、

スペインなのに、何故アメリカの木が?

 

これは、以前も書いたが、かなりの時間を掛け、

恐ろしいぐらい調べた。するとお酒とは、

全く関係ない所から、

思い当たる答えが出てきた。

 

西部開拓時代、スペインから船で物資を、

アメリカに送るが、まだ、スペインに、

持ち帰る物資が、当時のアメリカには無く、

空荷となる。そうなれば船の喫水線が上がり、

 

横転しやすくなる。そこで、その辺にあった。

木を伐採し、バラスト、重りとして、

船のバランスを取ったと言う、

故に、アメリカ産のオークが、

 

大量に、スペインに届く事となる。

それをシェリー酒の作り手が、

使ったかどうかまでは、流石に解らなかったが、

明らかにこれだと思う、

 

と、言うのが、蘊蓄の範疇だと、

私は思っている。

そういう事を踏まえながら、

後編へつづく・・・