黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

ネットの渦に巻き込まれ・・・

ネットにはネットの弊害が付きまとう、

ネットに依存し過ぎると、やはり、ネットと、

リアルが、同じようになり、

区別して、考えられなくなるのだろう、

 

最近では、お酒の事を書かれる方も、

急増し、それはそれで、大変喜ばしい事だが、

そこには、線引きが必要だが、

一般の方には、確かに難しいだろう、

 

ウイスキー好き」でくくられる。

もっと大きく言えば、「お酒好き」となる。

が、お酒の事を書かれている方でも、

色んな種類のお酒を飲まれる方、

 

ウイスキーでも、シングルモルトだけの方、

バーボンや、ブレンディド等、

ウイスキー全般の方、と、多種多様で、

中には、ジンだけの方や、ラムだけの方、

 

そういう愛好家の方になると、

私も知らない、マニアックな銘柄を、

飲まれている。いや逆に勉強になるが、

それを、ネットで見た方が、それが飲みたいと、

 

店に来られても、困ると言う話で、

まずは、大きな線引きが必要で、

簡単に言えば、

愛好家=飲む、

 

コレクター=集める

BAR=売る

当たり前の話だが、

その当たり前がぼやけるのが、

 

ネットの弊害と言う事だろうと思う、

あくまで、私らバーテンダーは、

売る事が目的である。

私が最終地点では無い、

 

その先があり、その先に信用も含めてお売りする。

お客様用なので、一か八かは難しい、

その点、愛好家や、コレクターの方は、

自己責任で、全て完結する。

 

それが、私らには無い特権で、

スタンスの違い、世界の違いである。

オールドボトルを、ネットで見たと、

5点満点だったから、飲んでみたいと、

 

言われても、ご自分で買われて飲まれたら、

と、しか言いようが無い、

当たり前の話なのだが、

高額なボトルを手に入れても、

 

高額な販売価格になる。

なにより、一杯しか出なければ、

大赤字のデッドストックとなる。

又、高額な物になれば、

 

入手先も、余程調べないと、

お店の信用問題にもなる。

私もネットオークションを、やり始めの頃、

オークション自体がずさんで、それも良く解らず、

 

安いと言うだけで購入し、何本か廃棄した。

完全に、劣化している物があった。

が、これが個人なら、全く問題ない、

妙な味だなと思いながら、

 

飲めば良いのだが、お店となると、

そう言う訳にはいかない、お金を頂くのだから、

当たり前の話である。お店と、個人、

そういう線引きが無くなるのが、

 

このネットを、象徴する恐さである。

愛好家も、コレクターも、バーテンダーも、

皆同じ仲間で、同じ渦に巻かれている。

ネットで見た。ネットに書いてあったと、

 

と、言うなら、その方に連絡を入れるべきで、

お店に来られて、私に言われても、

困ると言うだけの簡単な話、

と、一応、丁寧に書いても、

 

読まれた方が、理解されたのか、

誤解されたのか、それすら解らないのが、

こういうネット、ブログの恐さでもある。

まあ、最近はウイスキーに詳しい人も、

 

増えて来て、嬉しいのだが、

故にウイスキーに詳しくなったから、

BARが出来ると言う物でも無い、

愛好家の方で、自分が買うお酒を、

 

常に誰かに飲んで貰う為に、

人に売るために、買っているだろうか?

これを買って、この値段で売れば、

利益はこうなるが、同時にこれも売るので、

 

こちらの値段は少し下げてあげないと、

お客さんの負担が大きくなる等と、

考えながら、購入する人が居るだろうか?

当然、居ないだろう、

 

自分が飲みたい物、

自分の好きな物だけを買っていたら、

そこには、当然、偏りも生じる。

偏りが生じれば、趣味の店となり、

 

経営的には難しくなり、生活出来なくなる。

BARには、ウイスキーを飲みに来る人だけでは、

決して無い、大半はカクテルであり、

カクテルは、厳密に言えば、

 

使う氷や、分量、シェーカーを振る時間

等々で、その人の味となり、唯一無二だが、

ウイスキーは、手に入れれる物なら、

どこの店でも、買えば済む、家でも飲めるが、

 

カクテルは、そのお店に出向かないと、

その店の味は飲めないので、

希少性は遥かに高いのだが、

その辺りのBARとしての認識も、

 

最近はなくなって来ている。

技能は要らず、知識だけと言うのは、

バーテンダーなのか?と、時折思う、

まあ、ビジネスとしてなのか、

 

趣味なのか、いかに希少な、

5点満点のオールドボトルと言え、

ただ単に、自分が飲みたいだけか、

それが売れるのか、採算は取れるのか、

 

そこに決定的な違いがある。

が、勘違いしてはいけないのは、

別にウイスキーに詳しくなくても、

BARは誰でも出来る。私も、四半世紀前から、

 

今の知識があった訳では無い、

単にやりたいから、やっただけの話、

やるかやらないか、要は、勇気と、

やる気と言う、単純な問題だけであるが、

 

ただ、何年続けられるか、1年か、3年か、

30年か、それは解らない、

その人の、努力次第だし。

私には、責任は無い、

 

そして、今夜も又、来るかもしれない、

「あの~ネットで見たんですけど、

このお酒ありますか?」

「・・・・・・・」