まあ、何十年やって来ても、
おすすめとの闘いは続く、
果てしない荒野のように、
おすすめ下さい!
初めて来られて、
おすすめ?
一体なんの話だ?
BARは洋酒の専門店である。
お酒は嗜好品であり、
ウイスキーには経験値が必要、
はい!これがおすすめです!
と、出してくる方が怪しい、
お酒には、強い、弱いがある。
味噌汁を売っているのでは無い、
今日はあさりの良いのが入ったよ!
とは、ならない、
その人、その人に合った物を出す。
それが、バーテンダーの仕事で、
キャリアを積めば、
当たり前だが知識も増え、
飲んだ量も増え、経験値も高くなる。
全く解らない方は、
酒=10ぐらいの感覚だろうが、
私らは、酒=一億の感覚がある。
しかし、どうして伝わらないのか、
不思議なのだが、
やはり、この下町では、
毎晩のようにおすすめの嵐、
例えばと話すと、
余計解らなくなるようだが、
こちらも必死で、あれこれ考える。
まあ、楽器店に行って、
おすすめの楽器下さい!
と、同じようなもので、店員さんは、
必ず、はあ?と、なるだろう、
まず、ギターなのか、バイオリンなのか、
ドラムなのか、サックスなのか、
と、ギターなら、初心者なのか、
上級者なのか、伝えなければ、
すすめようが無い・・・
もっと言えば、カラオケBOXに行って、
おすすめの曲は何ですか?
と、同じレベルである。
下手すると通報されるかもだが、
まずは、ウイスキーなのか、
カクテルなのか、
ウイスキーは初心者なのか、
毎日、浴びるほど飲んでいるのか、
飲んでいるなら、同じ銘柄なのか、
多彩に飲んでいるのか、
他の店がどうしているか、
解らないが、私はやはり外したく無い、
ので、細かく聞くのだが、
必ず、ムッとされる。
多分、通ように見せかけたいようだが、
おすすめと、言った瞬間に、
ずぶの素人だと、
既にバレているのだが、
と、ウイスキーと言っても、たかが総称、
カテゴリー分けが出来ないと難しい、
スコッチと言っても、
ブレンディドなのか、
シングルモルトなのか、
厳密にはグレーンウイスキーも存在する。
シングルモルトも、
ただの代名詞に過ぎない、
スペイサイドなのか、
アイラなのか、銘柄は何か、
専門店である以上は、
当然の話なのだが、
これが恐ろしいほど伝わらない、
下町の恐怖・・・
が、明日も、
明後日も、数年後も、
おすすめ下さい!
と、闘うのだろう・・・