私は、あまり味わいの事を、
言わないのだが、まあ、調べれば、
何でも解る時代なのだが、
店では、トラブルを避ける為である。
例えば、少し前に取り上げたカリラの12年だが、
甘口なのだが、ファーストアタックに、
強烈な辛味があるので、初心者の方は、
辛い!と、なってしまう、
これを、ブログに書いたので、
何人か、来られたが、
次々と、甘さが解らないの連続、
だから、何度も飲む事で、
たった一杯では、個人差はあるが、
なかなか、甘さに辿り着けない、
一杯目、二杯目、三杯目と、
意見が変わる。これがウイスキーの、
奥深さであるのだが、
それは、一度飲んだからと言って、
飲まない方が、圧倒的に多いが、
それでは、足踏み状態を、
続けているのと同じであり、
まだまだ、食べ物と同じように、
考えている方がほとんどで、
初めの一歩が進まないのだが、
これを、辛口ですと言うのも、
嘘になってしまう、
故に、こちら側から、正確な事を書く事、
説明する事が困難となる。
ビギナーの方を、導く難しさであるが、
今回の、コロナによる休業中に、
家で、このカリラの12年を買われた方が居られ、
案の定、飲むのに難航されていた。
なので、初めの辛さに惑わされず、
甘いと、頭に入れて、飲み続ければ、
甘くなりますから、大丈夫ですよと、
伝えたら、見事、克服!
甘めのシガーにも合う、
デザートウイスキーだと、
解ったようである。
飲み続けた故の、克服である。
皆さん、美味しいウイスキーを飲みたいと、
店に来るのだが、美味しいウイスキーは、
幾らでもあるが、その人自身が、
美味しいと気付くまで、飲み続け、
ある程度の、経験値に達していなければ、
幾ら、お出しても、
美味しいとはならないが、
それでも、諦めずに、
飲み続ける事によって、
必ず、その日は、やって来る。
ウイスキーとは、投資のお酒である。
投資と言っても、転売では無く、
未来の自分自身に投資し、経験値を高め、
美味しい物を、美味しいと判断出来るように、
ならない限り、いきなり、高いウイスキーを飲んでも、
その時には、解らないと言う事であり、
本と同じである。若い時に読んだ本を、
年を重ね、経験値を積んでから読むと、
意味合いが変わるのと同じ、
アニメも、そうなのだが、
子供の時、観ていたアニメを、
大人になって観直すと、完全に視点が変わる。
余談だが、最近「あしたのジョー」を観直して、
初めて、コーチである。丹下段平の偉大さと、
気持ちや、思いを痛感した。
そして、拳闘と喧嘩の違い、
拳闘は、技術と技術のぶつかり合いで喧嘩では無い、
これも、正にウイスキーと同じだと思う、
知識と経験を駆使して、飲み続けなければ、
ウイスキーは、答えてくれない、
今まで、ウイスキーに対して、
色んな事を、書いて来たが、
もう少し、踏み込んだ事を書こうと思うが、
参考になるかどうかは、解らないが、
私は、いつも、嗜好品なので、
好みの問題があると、
何度も、言って来たが、それは詭弁的な事で、
好みの問題は、実は、まだまだ先の未来の話である。
そう言わないと、気を悪くされる方も、
居られるだろうと言う、配慮なのだが、
何が美味しいか?何故、評価が高いか?
まず、そこまで時間を掛け、経験値を高め、
理解度が、ある基準に達してからの、次の段階が、
好みの問題となる。そこまで、達していなければ、
ただの好き嫌いで、ピーマン嫌いと、同じなのだ。
この好き嫌いが、道のりを遠くしている事を、
今回、カリラの12年を克服された方々は、
少し、理解で来たのでは無いかと思う、
苦手、嫌いと思った物も、飲み続ければ、
必ず化けると言う事である。
だが、ここに大問題がある。
息抜きの場である。BARなのだから、
自分の好きな物ばかりを、
飲むのは当たり前で、
それが、当然、BARの飲み方なのだが、
自分を成長させるのは、限界突破、
苦手の克服こそが、
ある程度の到達点への、
近道であり、固定観念と、
好き嫌いが大敵と言う事なのだ。
ウイスキーは、飲み続ければ、
必ず味が変わる。
これは、イロハのイなのだが、
ここに理解の無い方が多い、
簡単な話をすれば、子供の時、
ビールを舐めて、苦いと思ったが、
今では、どうだろうか、グビグビ飲んでいる。
ピーマンも、そうだが子供の時は苦手でも、
今では、BBQには欠かせない、
納豆等も、そう書き出せばキリが無い、
ウイスキーは、その最たるも物だろう、
まずは、ハイボール、そしてロック、
初めの難関は、ストレートで飲む事、
そして、スペイサイドから、
ハイランド、アイランズ、
そして、次の難関がアイラモルト、
最終的に、アードベッグとなる。
要は、限界突破の連続である。
しかし、そのアードベッグすら、飲み続ければ、
当然、飲み易くなる。故に限定品を出してくる。
と、言う事なのだが、自分自身の、
口が変わると言う事に、気付いていない方も多い、
あれ?これ、こんな味だったっけ?
と、言われる方は、その時点で、
成長によって、自分の口が変わっているのだが、
ウイスキーが変わっていると勘違いしている。
う~ん、これは口に合わない、
苦手だと思う物こそ、飲み続けると、
必ず印象は変わり、味わいは変わる。
それが、ウイスキーであり、
経験値であり、成長であるのだが、
BARでは、苦手だ。嫌いだと言う物を、
それでも飲めとは言えない、
故に、BARにはBARの飲み方があり、
自分を成長させるのは、
成長させる飲み方がある。
この事を、夏目漱石氏も言っている。
「おもしろいから、読めというのではない、
苦しいからこそ読めというのだ」
これは、長塚節氏の「土」に対する評論だが、
言い換えると「美味しいから飲めと言うのではない
苦しいからこそ飲めと言うのだ」
この一文を、限界突破に於ける己の成長と、
私は、捉えている。
又、グルメだから、ウイスキーが解ると、
言う物では無い、グルメであっても、
ウイスキーの知識が全く無ければ、
ピート香が強く、シェリー樽由来の、
甘さがありと、いきなり解る訳が無い、
まずは、ピート香、シェリー香、
スモーキフレーバー、薫香、
パヒューム香等々、言葉を覚えない限り、
表現できない、言葉を知らない人が、
解らない、解らないとぼやくが、
それは言葉を知らないのだから、
当たり前の話で、それは自分で覚えない限り無理で、
私は、保育士でも、教師でも無い、
自分の足で、長い長い階段を登らないと、
代わりに登ってくれる人は居ない、
まあ、今日はこの辺りで・・・
つづく・・・