いつもは先着順だった。
ニッカのシングルカスクウイスキー
NHk「マッサン」の影響で応募が殺到したのか、
まさかの抽選に、
抽選と言っても買う権利が貰えるだけで、
タダでは無いのだが、
その一本2003年シングルカスク宮城峡を、
499本限定を引き当てた。
しかし、この価値観が解らなければ、
ただの高い酒になってしまう、
まずは宮城峡とは?
シングルカスクとは?
499分の1とは?
私達の仕事が大変なのがそこだ。
価値観の解らない人には、
全く解らないだろうが、
この意味が解る人には、
徳川埋蔵金のような存在、
天と地の差がある。
樽は1樽事に味わいが違う、
故にこの一本は、
499本が消費されれば、
二度と出会うことが無い、
その一本が大阪は大正区の下町の、
辺鄙な場所の小さなBARにある。
ウイスキーマニアなら駆け付けるだろう、
が、誰も来ない・・・
と、思っていたら、
絶滅危惧種に等しい、
当店常連氏が一人、
K−太君がニコニコしながら、
やって来た。
目当ては勿論シングルカスク宮城峡、
当店のシステムは、
オークション以外は、
お客様にヴァージンショットの権利がある。
故に誰かが開封してくれないと、
私も飲めない、
その時、少しバタバタしていたが、
K−太君にお出しして、
あれこれと動いていた。
暫くして彼の顔をふと見ると、
血の気が引いている。
な、何があったのだ。
少し落ち着き、
私もテイスティンググラスに、
数滴垂らした。
ぐっ・・・
な、何だこれは・・・
ぐったりして出て行くK−太、
大都会のはぐれカラスのようになっていた。
それと入れ替わりに、
若きウイスキーマニア、
バーテンダーに憧れる。
カズヤ君が来た。
そわそわしている。
お目当てはやはり、
シングルカスク宮城峡、
K−太君とは少しリアクションが違う、
飲み干した後も、
何度も、何度も、グラスを匂っていた。
しまいには、
「このグラス持って帰っていいですか?」
と、言った。
それは駄目だ。
「明日の朝、早いんです」
と、言いながらも、
まだグラスを匂っている。
そんなに気に入ったのか・・・
と、賛否両論、
嗜好品全開の逸品、
早くしないと無くなりますよ!
しかしお二人とも、
これに救われましたと、
濃厚チーズ、
ミモレット22ヶ月熟成、
確かに私も同意見だ。
な、何だこれはと必ず思う、
「シングルカスク宮城峡2003」
後悔先に立たずにならないように・・・