黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

酒通信 スコットランドだより 59 待望の蒸留所 2

自分が行かないで、

画像だけで判断する事が、

いかに難しいかが、解った。

このスコットランドだより、

 

知らないウイスキーは勿論、

飲んでも無いし、手元にも無い、

が、蒸留所の設備の違いにも、

困惑する。同じ装置、機械でも、

 

蒸留所によって、形状が違う物もある。

まあ、今回もそういう物が、

出てくるのだが、

それでは、スコットランドから送られて来た。

 

当店常連氏のケイスケ君の画像を、

見ながら、解る範疇で、

解説して行きますが、

間違ってたら、すいません・・・

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グレンフィディック蒸留所なのだが、

今回は、その蒸留所に隣接する蒸留所、

と、言えば、もうお分かりだろうが、

そう、今回はバルヴェニー蒸留所である。

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屋根に、うっすらとバルヴェニーの、
文字が見えている。

蒸留所の工程は、大きく分けて、

精麦、麦芽を作る。

 

それを、マッシュタンで、

粉砕麦芽にした物を、

お湯で混ぜ麦汁(ウォート)を作り、

それにイースト菌を加え、

 

発酵槽で、発酵させ、

蒸留器で蒸留し、樽に入れ、

熟成させ、瓶詰めし、私らの元へ、

これが細かい事を、省いた一連の工程だが、

 

中でも、大変なのが、

フロアーモルティングと言う、

麦芽を作る段階だが、

これは、今では外部発注、

 

モルトスターと言う、

大きな機械で麦芽を作る工場に、

発注するのだが、自社でこの工程を、

行う蒸留所は、既に絶滅危惧種の、

 

ような物である。それは、

大変な重労働と、かなり大きな、

スペースが必要となる。

それが、このバルヴェニーにはある。

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最後の画像は、スティープ(浸麦槽)と言い、

これで、水を与え、床に麦を捲くようだが、

この体育館のように広い所は、

二階建てになっていて、

 

上の階に、大麦が集められ、

ティープ(浸麦槽)で数時間、

水に浸し、今度は乾燥させ、

大麦から、発芽させ、この状態を、

 

グリーンモルトと呼び、

下の階のモルトハウス(モルトバーン)に、

敷き詰められ、7日~10日間、

数時間おきに、木製のシャベルで、

 

何度も撹拌させると言う、

重労働が、黙々と続けられる。

そして麦芽になった物が。

床の溝の中を通り、

 

キルンの床で乾燥させるのだが、

そのキルンの床らしき、

物の画像が無いのだが、

簡単に言えば、こういう事になる。

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↓二階

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↓スティー

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右の溝の中に、回転するローラーがあり、

それで麦芽が運ばれるようだ。

しかし、これだけ広大な面積を必要とし、

しかも重労働となれば、機械化社会では、

 

消えて行く工程だろうが、

頑なに、伝統的な工法を維持し、行っている事が

商品価値、ブランドイメージである事を、

良く理解してあげて欲しい、

 

産業の発達で、今では無駄と思われる事に、

汗と情熱を注ぐ、これが本来の、

ウイスキースピリッツ、

魂注入であると、私は思う、

 

こう言う事を理解し飲む一杯は、

味わいが変わり、

この工程を担当する。

モルトマン、すき返し職人さん達の、

 

苦労も報われると思う、

あまりの重労働に、

肩に痛みや、重み、

四十肩、五十肩ならぬ、

 

モンキーショルダーと言う、

職業病に悩まされる。

その事に、敬意を込めて、

グレンフィデックの、

 

ウィリアム・グラント&サンズ社から、

モンキーショルダーと言う名の、

ウイスキーが発売されている。

ボトルの肩に、お猿が三匹乗っている。

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三匹の意味は、グレンフィデック、

バルヴェニー、キンニヴィのブレンドで、

ある事からの由来である。

昨今、何もかもが、便利な時代になり、

 

昔は、当たり前だった手紙が、メールに変わり、

遠く離れていても、オンラインで、

会話が出来るようになったが、

では、手書きの手紙は無用なのだろうか?

 

と、言う問いのようなものだろう、

広大な敷地に麦を広げ、

昼夜問わず、何日も掛け、何度もすき返す、

それは無意味な事なのだろうか?

        つづく・・・

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※蔓延防止の時短要請により、

3月7日~3月21日まで、

臨時休業とさせて頂きます。

ご了承の程よろしくお願いします。