十数年ほど前、良く来られていた常連氏、
転勤となり、今は関東方面にお住まい、
コロナがくすぶり出した頃、
ひょっこりと、現れた。
実に久しぶりの再会、
そして、先日、店に行くと、
年賀状が4日に、ひょっこり届いていた。
その常連氏からだった。
兎に角、旅行が好きで、仕事には関係ないが、
旅行関係の資格も持っておられる。
いや、動く時刻表のような方で、
多分、雪見酒を楽しんだのだろう、
この方、お酒には偏りが無く、
ビール、日本酒、何でも大丈夫、
店に来られても、ウイスキーだけではなく、
カクテルもよくご存じで、いつも、
バーテンダーの技量が試されているようだった。
その中に、たまにオーダーされていた。
カクテルがあるが、名前が出ると、
ギクッとする。何故か?
難しい、ではなく、納得がいかない、
本音で言うと、カクテルは同じ物を、
幾度となく作っても、
手応え、電気のような物が、
腕先から、脳に走る時がある。
自分の体が、完璧だと感じる瞬間がある。
それは集中出来た時だけ、
まあ、大阪人は話好きで、
喋ると止まらなくなり、
カクテルを作っている間も、
ずっと話しかけて来る。
集中出来たら、多々起こるが、
話しかけられていたら、そりゃ無理・・・
が、集中しても、このカクテルでは、その経験が無い、
その名は「ポーラー・ショート・カット」
ポーラー・ショートカットとは、
東京を結ぶ、北極回りの、航空路線、
別名「ポーラールート」これが、
開設された記念に、1957年に開かれた。
カクテルコンテストの優勝作品、
創作者は、コペンハーゲンの、
バーテンダー、ポール・ドジャール氏、
彼は、この新航路の一番機に乗り、
日本に来日し、カクテルを披露している。
しかし、現在はこの北回りヨーロッパ線は、
廃止され、カクテルだけが存在している。
レシピは、ホワイトキュラソー、
コアントローと、ダークラム、
このダークラムは、フランス産の、
ネグリダと言うラムが指定される事があるが、
そのネグリダを持っていない、
しかし、ゴールドラムでも良いとされている。
そして、チェリーヒーリング、
最後はドライベルモット、
これは、ノイリーなので大丈夫だが、
ネグリダと言うラム、飲んだことさえ無い、
多分、これが引っかかっているのだろう、
そして、全てを同量で、ステア、
なのだが、やはりしっくり来ない、
まあ、少しお高くなるが、
これならば、と、言うラムの銘柄があるのだが、
しかし、旅行好きの方が頼むと、
実に理にかなったカクテルである。
次の再会は、いつになるか解らないが、
もう一度研究し、洗練させよう、
「ポーラ・ショート・カット」