まあ、いきなり忙しくなったり、
めっきり暇になったり、
安定感の無い毎日、
それが、不景気なのですが、
その日も、暇な夜だった。
かなり遅くになった頃、
女性が一人、
「あのー、すいません」
「はい、何か?」
「脚立貸してくれませんか?」
「・・・・」
脚立?・・・
最近、又、子猫が産まれたのだが、
その一匹が、高架の上から、
落ちたか、降ろしたか、
それを、何度も母猫のチョビが、
上り方を教えているように、
見えるので、見守っていたが、
この女性、脚立で上に上げると、
言っている。
無理だ・・・
猫の事をご存じなら解るが、
飼い猫でも、懐かない子は懐かない、
まして、野良猫、
言えば、野生である。
毎日、会っている私でも、
至近距離に行くと、
威嚇される。
どうも、多くの人は、
猫は呼べば来るように、
思っているようだが、
間違った固定観念だ。
の、ような事を説明したが、
どうも、納得が行かない、
ご様子、参った・・・
しかも、高架に脚立を掛けて登れば、
不法侵入なのだが、
それも、解らない、
ご様子・・・
仕方なく、「無理です」を連発、
しかし、又、そんな事をすれば、
あそこのマスターは、
酷い人だと言う事になりかねない、
が、冷静に考えて、
夜中に高架に脚立を掛けて、
猫を捕まえて登って・・・
いや、どう考えても、
常識の範疇では無いのだが、
いやいや、その前に、
営業しているBARに、
脚立を借りに来る方が、
遥かに恐い・・・
まあ、何とか帰って頂けたので、
事なきを得たが、
猫は、個体によって、
懐く子、懐かない子が居ます。
特に、野良猫は、
と、ウイスキーやら、
カクテルより、
まず、猫か・・・
道のりは遠い・・・