昼間、店を片付けていた。
夕方あまりに疲れ、
休んでいると、
店を激しくノックされた。
出てみると、
あれ?この人誰だ?
「いや、近くに来たから」と、
おばあさん、いや見かけは、
おばさん、来ている服が、
派手だ・・・
いきなり、
「お前ヒゲ剃れ!
髪の毛、ちゃんとしろ!」
え、いや、まだ営業では無いので・・・
ん?ママ?
いや、まあ驚いた。
35年前私が19歳の時に勤めていた。
宗右衛門町のラウンジのママが、
怒鳴っていた。
「近くに来たから、ご飯食べに行くぞ!」
ええ・・・今弁当食べたのに・・・
しかし、逆らえる訳はなく、
近所のお店に、
まあ、相変わらず、
「食べろ、食べろ!」と、
バブル組の豪快世代、
今の時代では滅茶苦茶と言われるが、
この世代は当たり前、
しかし、久しぶりに怒られた。
ママの店はラウンジだったが、
私は、この人に、
水商売を教わった。
特に水商売の仁義には、
厳しい方で、
道を外れた店に怒鳴り込んだ事もある。
後でその店の社長さんが来て、
謝られていた。
だからと言って、
その水商売の仁義なるものが何なのか、
細かく、具体的なものでは無く、
説明も難しい、
後は、掃除・・・
特に厳しかったが、
当たり前の事なのだが、
盛り塩も欠かせなかった。
色々と話をした。
その時、ふと思った。
あの時していた事を、
今、きっちり出来ているだろうか?
いや、出来ていない、
どこか胡坐をかいている。
ラウンジであろうと、
クラブであろうと、スナックも、
バーも、基本は同じ、
あの頃は何時間も前に店に行き、
掃除をし、ボトルを拭いていた。
初心忘れず・・・
この最大の難局に、
改めて大事な事を思い出した。
いや、思い出させてくれた。
ありがとうございました。
と、言わざる得ない、
そして、この歳になっても、
怒ってくれる方が居る事の、
大切さを、
身に染みて感じた。
良い夏の夕暮れだった・・・
御馳走様でした。
そして、もう35年・・・