黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

先に逝くもの・・・・

相変わらず、暇な夜だった。
2月1日に日が変わった。
私の母の誕生日か、
85、ん?86歳か・・・


長生きしてるな、どうしているのか、
そんな事を考えながら、
いつもの如く、愚痴を吐く、
常連氏の話を聞いてるようで、
聞かないようで、


そんな時、電話が鳴った。
いつもより大きな音に聞こえた気がした。
大阪は、ミナミの水商売仲間、
古くからの友人からだ。


私は、阪神大震災までは、大阪は北新地にいた。
その後、独立、
北新地のしがらみが嫌で、
ミナミに、数人の知り合いを頼りに・・・
その中の一人に、古くから、店を構え、
お父さんと、一緒に働く、


私より、かなり若い青年がいた。
本が好きで、よく私に、本の事を尋ねて来た。
彼の店は、30年程続く、老舗、
BARでは無く、ラウンジだった。


店が終わると、私の店に、
私の店が終わると、二人で、又、友人の店に、
いしいしんじ」と、言う作家がいる。
「麦ふみクーツェ」という作品で、
文学賞を取っている。
私も何冊か読んだ。


いしい氏は彼の友人で、
何度か、一緒に飲んだ。
楽しい日々だったが、
いきなり、店を閉めた。
それから、久しく会っていない、
まあ、水商売、5年や10年会っていなくても、


昨日のように話が出来る。
同級生のようなものだ。
確かに、どうしているのだろうと、
少し前に思った。


今、私は喪服を用意し、
通夜と葬儀の連絡を待っている。



親愛なる上ちゃん・・・
心からご冥福をお祈り申し上げます。

       坂本雅央


先に逝くものが、何故こんなに多いのか・・・
壮絶な脱力感に襲われている。