黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

還暦と言う一つの点

静かにその時が来た。60歳還暦、
今までは何だったのだろう、
光陰矢の如し、いつだったか?
夏休みにクワガタを、

捕りに行って捕れずに、
寂しい気持ちになり、
父母と海に旅行に行けば、
曇りの日が続き、憂鬱になり、

子供が出来たら、同じ事をし、
頑張ったようで、楽しんでたようで、
何となく生きて来たが、
その間に、多くの友とお別れをした。

私よりも若い方も沢山なくした。
中でも毎日のように店に来ていた。
お笑い芸人、小さな子供が3人も居て、
これからだと言う時に、

癌との壮絶な戦いに敗れた。
やはり生きるとは、
多くの死を背負う事、そして、
年々、その重みを増す。

その人達の分まで、
頑張らねばと、思って来たが、
幾度となく躓き、フラフラになった。
それも、人生だと自分を誤魔化して来た。

が、今年の癌の告知は、流石に死を感じ、
どん底に落ちたが、坂口安吾は言う、
「堕ちる道を堕ちきることによって、
自分自身を発見し、救わなければならない。」

初めて、文面では無く、
肌で感じる事が出来た。
しかし、永遠の憧れ山頭火は、
こう言った。

「どうしようもない私が歩いてゐる」と、
宮沢賢治は、こう教えてくれた。
「なにがしあわせかわからないです。
ほんとうにどんなつらいことでも

それがただしいみちを進む中での
できごとなら峠の上りも下りも
みんなほんとうの幸福に近づく

ひとあしずつですから。」
遠くから、燃える闘魂の声が聞こえる。
「踏み出せばその一足が道となり、
その一足が道となる。

迷わず行けよ、行けばわかるさ」
今、還暦と言う、一つの点に立ち、
これまで多くを学び、多くを感じて来たが、
迷い、迷っての今である。

が、私が、今日まで生き残ったのには、
何か理由があるのだろう、ならば、
その答えを探しに、又、歩き出そう!
ここに、無事、還暦を迎えた事を、

私に関わる全ての皆様に、
心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

僕の前に道はない、
僕の後ろに道は続く・・・高村光太郎
私はブレーキの壊れたブルドーザーで、
あり続けたい・・・
     2023年12月14日
     バーテンダー 坂本雅央
 

「歩け、歩け。続けることの大切さ」

           心の師 伊能忠敬