帝塚山を後にして、
「神ノ木」駅を過ぎ、
住吉に入った。
「住吉大社前」
いきなりあった。
しかも赤ちょうちん、
迷わず入った。
すると年齢不詳のお姉さんが、
「いらっしゃい!やった!来た!開けたばかりで来た!」
ワールドカップのサポーターのような盛り上がりを見せた。
席に座ろうとすると、
「あっち、あっち!料理はあっち!」
と右側の席にと言う事のようなので、
狭い店を移動、
猛烈なスピードで料理を説明、
は、早い私よりも舌が回る。
で、出来る・・・
他には・・・
「・・・・」
ホワイトボードに書かれた品書きが、
達筆過ぎるのか、私のような凡人には読めない・・・
梵字なのか・・・
「幸、ち、ま、こ」?
ちがう、「なまこ」だ。
「赤なまこ」だ。
そこで「すいません、なまこ下さい」
そこに常連らしいおじさんが二人来られた。
お姉さん、そのおじさんに一杯戴いているようだ。
聞こえないのか?
「すいません!なまこを!」
するとお姉さん、
「えっ赤・・・・」
「・・・・」
駄目だ完全に飲まれているこの空気は一体何だ。
ラオウだ。ラオウが目に前に居る。
私ごときは名も無き砂漠の民だ・・・
しかし、何故かしっくり来る。何故こんなに落ち着くのだ・・・
この後も放送禁止用語が狭い店内を乱舞していた。
面白くなってしまった。
寒ブリを頼んでみた。
寒ブリを頼んだのに、
ステーキが出てきた。
ミディアムかこれは・・・
いや、寒ブリだった。
いつも、包丁の入れ方がどうのこうのとグルメぶっているが、
もうそんな事はどうでもいい、
この豪快さには参った。
この店に漂う見慣れぬ空気と混ざり、
違う世界に誘われている。
完敗だ・・・
バーテンダーなら、お酒の知識等で張り合う、
が、大阪人として負けたく無いものがある。
喋り・・・口調、リズム、只者では無い、
惨敗だ・・・
もう、38年続けていると、
私は12歳だった。
何も気取らず、偉そうにせず、
屈託の無い笑顔のお姉さん、
大変な事もあっただろう、
いや、今も不景気で大変なはず、
それを微塵も感じさせない、
プロ、いや達人だ。
これが飲み屋だを見せ付けてくれた。
オリンピックでも見た。
転倒しても諦めない人、
諦める人、
転んでも転んでも、
諦めない人には救いの手もあった。
諦めたらそこで終わり、
始めたら、そこが始まり、
ただただそれだけなのだろう、
この小さな空間に38年間、
語りきれない元気を戴いた。
お礼の意味で、少しだが「お釣りは結構です」と言うと、
お姉さんは、そのお札を振りながら、
「チップ戴きました!」「チップ戴きました!」
と何度も何度も叫んでいた。
おじさん達は下を向いていた・・・
魔物だ・・・
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