黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

チンチン電車に乗って・・・3

帝塚山を後にして、

神ノ木」駅を過ぎ、

住吉に入った。
住吉大社前」


いきなりあった。
しかも赤ちょうちん、



迷わず入った。
すると年齢不詳のお姉さんが、
「いらっしゃい!やった!来た!開けたばかりで来た!」
ワールドカップのサポーターのような盛り上がりを見せた。
席に座ろうとすると、

「あっち、あっち!料理はあっち!」
と右側の席にと言う事のようなので、
狭い店を移動、

猛烈なスピードで料理を説明、
は、早い私よりも舌が回る。
で、出来る・・・


他には・・・
「・・・・」
ホワイトボードに書かれた品書きが、
達筆過ぎるのか、私のような凡人には読めない・・・


梵字なのか・・・
「幸、ち、ま、こ」?
ちがう、「なまこ」だ。

「赤なまこ」だ。
そこで「すいません、なまこ下さい」
そこに常連らしいおじさんが二人来られた。
お姉さん、そのおじさんに一杯戴いているようだ。
聞こえないのか?

「すいません!なまこを!」
するとお姉さん、
「えっ赤・・・・」

「・・・・」


駄目だ完全に飲まれているこの空気は一体何だ。
ラオウだ。ラオウが目に前に居る。
私ごときは名も無き砂漠の民だ・・・
しかし、何故かしっくり来る。何故こんなに落ち着くのだ・・・
この後も放送禁止用語が狭い店内を乱舞していた。
面白くなってしまった。

寒ブリを頼んでみた。
寒ブリを頼んだのに、
ステーキが出てきた。

ミディアムかこれは・・・
いや、寒ブリだった。
いつも、包丁の入れ方がどうのこうのとグルメぶっているが、
もうそんな事はどうでもいい、
この豪快さには参った。


この店に漂う見慣れぬ空気と混ざり、
違う世界に誘われている。
完敗だ・・・
バーテンダーなら、お酒の知識等で張り合う、
が、大阪人として負けたく無いものがある。
喋り・・・口調、リズム、只者では無い、
惨敗だ・・・

もう、38年続けていると、
私は12歳だった。
何も気取らず、偉そうにせず、
屈託の無い笑顔のお姉さん、
大変な事もあっただろう、
いや、今も不景気で大変なはず、
それを微塵も感じさせない、
プロ、いや達人だ。
これが飲み屋だを見せ付けてくれた。


オリンピックでも見た。
転倒しても諦めない人、
諦める人、
転んでも転んでも、
諦めない人には救いの手もあった。


諦めたらそこで終わり、
始めたら、そこが始まり、
ただただそれだけなのだろう、


この小さな空間に38年間、
語りきれない元気を戴いた。
お礼の意味で、少しだが「お釣りは結構です」と言うと、
お姉さんは、そのお札を振りながら、


「チップ戴きました!」「チップ戴きました!」
と何度も何度も叫んでいた。
おじさん達は下を向いていた・・・


魔物だ・・・



↓お手数でなければ押して下さいね!
にほんブログ村 酒ブログ バーへ
にほんブログ村<



食べログ グルメブログランキング