黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

酒通信 ロングアイランド・アイスティー 2

3流バーテンダーの与太話、
昨日の続きをお話しよう、
老マスターは、カウンターの中にある椅子に、
そっと腰かけられた。
いつもより、小さく見えた。


「マンハッタン」又、次回にしよう、
と、席を立った。
「ご馳走様です」と、言った。
私の父と同じぐらいの、お年のマスターが立ち上がり、
「どうも、すいません、ありがとうございます」


と、言われた時、涙が出そうになった。
「どうも、すいません」とは、
私がここに来た理由、オーダー出来なかった事、
全てを見透かされていたのでは、
そう、思ったからだ。
そして、そのマスターの作る「マンハッタン」を
もう飲む事は出来なくなった。
翌年、お亡くなりになられたのだ。


それから何年か経ったある夜、
私の店の常連のお客様で、
色んなBARに通い、
豊富なお酒の知識を持たれている方がいる。
その日は珍しく店が忙しかった、
カクテルの注文が続け様に通った。
それでも、
「何か、お入れしましょうか?」
と尋ねたら、「後でいいです」
と、答えられた。


暫くして、オーダーが止まった。
その時、その方が、こう言われた。
「いや〜今日はどうしても、
ロングアイランド・アイスティーを飲みたくて、
今、いいですか?」
「勿論ですよ!」
いつもより、大きな声で、気持ちよく返事が出来た。
瞬間、あの老マスターの、笑顔が浮かんだ。


酒の知識のある無し、お金の使い方、そんな事は、
関係ない、心遣い、これが出来る人、
そういう方には、心より敬意を払う、
私が言っている事が、正確に、通じているだろうか?


最後に「ロングアイランドアイスティー」は
決して、バーテンダーの腕を試すカクテルでは無い、
あなたが試されるカクテルなのだ。

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