黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

酒通信 ロングアイランド。アイスティー 1

ドラマ「バーテンダー」の影響で、
年配の方や、若い方、
色んな方が、来られる。
しかし、若い人は、驚きの行動に出る。
カクテルをお出しすると、
携帯で撮影される。


こんな光景は今では、
珍しくも無いのだが、
店内も、パチパチと撮影している。
常識的には、やはり、
「撮影してもいいですか?」
と、一声掛けなければ、
あまり、いい気はしない、
やはり心遣いが、大切だ。
厳しいマスターなら、
注意されるだろう、


今日はその心遣いの話を、
3流バーテンダーが、
懐かしい思い出と、共に話そう、
BARで、気持ちよく飲むには、
心遣いが大事だ。
私は、北新地や、ミナミのご年配のマスターの店に、
何度か勉強に行った事がある。
飲みに行く以上、客なのだが、
勉強なので、やはり謙虚だ。


もう、10年以上も前になるが、
ミナミの老舗のマスターの店に、
お邪魔した時の事だ。
その日は、やけに忙しいそうな、
店内だった。


カウンターは、ほぼ満席、
マスターは足か腰でも悪いのか、
長く立っているのは、
いつも辛そうな感じだったが、
懸命にカクテルを作られていた。
(まずい時に来てしまった)
と、正直そう思ったが、
何も飲まずに帰るのも、失礼だ。


とりあえず、「ジントニック」を頼んだ。
懐かしい味のする逸品だ。
ご老体にも関わらず、
テキパキと仕事をこなす、
実に勉強になる。


私が、「ジントニック」を飲み終える頃、
さらに、オーダーが溜まって来ていた。
正装をしていたら、中に入って、
洗い物でも手伝って、あげたかった。
実は、この日、私は「マンハッタン」を
勉強したくて、この店に来たのだ。
この店で、まだ、「マンハッタン」を飲んだ事が、
無かったからだ。


実に、注文しにくい状況だった。
時を待っていた。
その時だ。
中年の親父が、ホステス風の女性を連れ、
先程から、大きな声で、あーだ、こーだと、
酒を語っていたのだが、
「知ってるか?紅茶が入ってないのに、
茶の味がするカクテルが、あんねんぞ〜」
と、きたない大阪弁で言った。


「マスター、ロングアイランドアイスティー二つ」
瞬間、私は、持っていたタバコを、
灰皿に叩きつけて、消した。
何故、今、それをオーダーするのだ。
カウンターは、オーダーが溜まっている。


ロングアイランドアイスティー」
ジン、ウオッカ、ラム、テキーラ
コアントロー、ガムシロップ、レモン、
をシェークし、コーラーで満たす。
複雑で面倒なレシピなのだ。


後、10分でも、例え5分でも、
待ってあげれば、追われる事も無い、
腹立たしさが、こみ上げて来た。
これが、心遣いだと私は思う、
頃合を見て、オーダーする。
相手はご老体、
先人は敬うものだ。
何も、今の時代にKYが多い訳では無い、
昔から、KYは存在する。


それでも、何も言わず、お作りになられていた。
私の「ジントニック」は、
氷が解け始めていた。
全てのオーダーが出て、
マスターが、そっとカウンターの中にあるイスに座られた。
いつもより、小さく見えた。
疲れたのだろうか、
などと考えていたら、オーダーが出来なくなった。
「マンハッタン」、又、次回にしよう、、、、
         つづく、、、
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