私の父は、戦時中大阪の歩兵部隊だった。
満州からの帰還兵だ。
子供の時、大晦日、正月になるとTVの中が、
有名な神社の、
初詣の人の、波、波、
大阪では、住吉大社だ。
深夜零時を回る。その頃になると、
「行こうか?」
又、あそこか・・・
父に連れて行かれる初詣、
その神社はTVの中の神社とは違い、
当時人影が、全く無い、出店も無い、
凄く寂しくなる。
しかも、住吉大社のすぐ近く・・・
何年かが過ぎ、ある時、父に聞いた。
「なんで、ここなん?」
そりゃそうだ。
楽しそうな初詣の映像・・・
しかし、その神社には、
人影も無い、
父が言った。
「正月ぐらいはここに、来たらなあかんねん」
意味が解るまで、
長い月日が流れた。
大人になり、友人と違う神社に行くようになった。
そして、最近、終戦記念日や正月に訪れるようになった。
「大阪護国神社」
大阪の歩兵、
そう英霊たちの眠る場所だ。
こういう物がある。
父は初詣ではなく、
英霊に会いに来ていたのだ。
「正月ぐらいは・・・」
の意味が解ったのは、
すっかり大人になってからだった・・・
つづく・・・