黄昏ウイスキー 

大阪は京セラドーム前の大人の小さなBAR「BARin」の日記 

小学生のモルトマニヤ

数日前、驚くべき事が、目の前で展開された。
当店の常連氏の中に、恐るべき知識のシングルモルトのマニヤが、
数人いるのだが、その中の一人が来店された。
背の低い2人を連れて、
あまり良い事では無いのだが、その2名は子供だった。


小学2年生のお嬢さんと、
小学5年生の兄だったのだ。
まあ何人かの常連氏は、早い時間に限り、
御子息を連れて来られるのだが、
まあ、皆おとなしい良い子供さんなのだが、
この二人は少し違った。


ん?暴れるのか?騒ぐのか?
NO!なんとシングルモルトマニヤなのだ。
信じれるだろうか、小学生なんだぞー!
カウンターから、顔ぐらいしか出てないんだぞー!
最初のオーダーが「サラトガクーラー」
意味が解からん、ノンアルコールカクテルを
小学生にオーダーされたんだぞー!
しかも「サラトガクーラー」とは、、渋い、、、
私は「サラトガクーラー」は何種類かあることを
告げると、元気な声で「はい、知っています!」と
返事が帰って来た。


恐ろしい、、、
その瞬間、BAR通や、モルトマニヤが来たら、
毎回発動する。金髪の必殺技「気配隠し」が始まった。
喋らなくなった、、、
し、小学生でもやるのかお前は、、、情けない、、、


流石に、未成年お酒は飲めないのだが、
香りを嗅ぐ事は出来る。
その小学5年生の発言がこれだ!
「アイラモルトの香りが好きです。
中でも僕は、アードベックが好きです」
やはりモルトマニヤの父、家にかなりの数のモルトがあるらしい、
それで香りを記憶しているらしい、


そりゃ〜人生で最も記憶力が高い時期だ。
だから皆、8〜10歳ぐらいの時のアニメも歌を、
いつまでも覚えているのだ。
しかもこの行為は間違ってはいない、
モルトを香りで記憶するのは、セオリーなのだ。
香りを記憶する事は、理論上は無限らしい、
そして下のお嬢ちゃんがオーダーしたカクテル、
これもノンアルコールらしいのだが、
私は、し、ら、な、い、、、、
屈辱だ、、詫びのつもりで「シンデレラ」という
ノンアルコールカクテルをお出しした。


これにはカラクリがある。
父親がモルトマニヤで、BAR通と言う事はあるのだが、
インターネットだ、ネットで調べているのだ。
これは手強い、このネットの御蔭でこの二人の兄妹は
かなりの数のカクテル、そしてモルトを知っているのだ。
仕方無い、本気で当店オリジナルのノンアルコールカクテルを
次々にお出しした。不意に、上のお兄ちゃんが、ショットグラスを見て、
「ハイランドパークですね」と言った。
確かに「ハイランドパーク」のショトグラスだ。


私は面白くなり、笑ってしまった。
そこで、アイラモルトのマニヤックなボトルを見せた。
「BIG PEAT」二人は声を合わせ、
「ビッグピート」と叫んだ。
ならこれはと「KILCHOMAN」
さあなんと読むのか?
解からないだろう、ではこの兄妹に聞いてみよう、
これなんだ?
「キルホーマン!」大正解!


すぐに焼酎を頼む、馬鹿おっさん、アホおばはんに聞かせてあげたい、、、
いや〜驚きを遥かに超える光景だ。後光が見える。
そしてお兄ちゃんが、「ピートとは、泥の炭ですね」と言った。
その通りだ。


そして決定的な発言が、小学2年生の女の子の口から飛び出した。
海老蔵のように左手で、カクテルグラスの底に手を添えながら、
背筋を伸ばし、ノンアルコールカクテルを飲む、
その女の子が、ボトル棚に目をやった。
瞬間、衝撃が走った!「イチローズ モルトがありますね」
何が起こっているのだ。一体、今、私の店で何が起こっているのだ。


信じられない、日本のシングルモルト
モルト好きの中では知られた逸品なのだが、一般人には解からないだろう、
特に小学生には、しかもそのボトルは、
その中でもかなり珍しい物だ。
これには「イチローズ モルト」の造り手、
「肥土伊知朗」(アクト イチロウ)氏も
大感激だろう、いや〜私も感動した。


早く大人になって欲しいものだ。
恐ろしい飲み手になるだろう、
しかしまあ、考えらされる一日だった。
皆もよく考えて欲しい、世の中には小学生の
モルトマニヤもいるのだ。


ただ少し疲れた、、、
まあ、わしも頑張るさかいに、
あんたらも、頑張りや〜
というような、感じだ、、、
馬鹿な話ばかりするのは、控えよう、、、

シングルモルトウィスキー大全

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