黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

酒通信 ボウモアの謎

私は、仕事でお酒を扱っているが、

決して、ウイスキーのマニアでは無く、

あくまで、一介のバーテンダーで、

カクテルに関しても日々、研究し、

 

精進している。一応はプロなので、

日々、何かしら、お酒の事を考えている事は確かだ。

故に、ボウモア一つ、取り上げても、

まだまだ話す事は、山ほどある。

 

しかし、店では、専門的な事は、

あまり話さない、と、言うのは、

全ての人が、ウイスキーに詳しい訳では無い、

その人、その人に合わせて、

 

話をしている。どこまでの理解度を持っているか、

どこまで、興味を持っているか、

何の興味も無い20代の女性に、

アイラモルトとはと、延々に話したら、

 

二度と来ないだろう、この人に合わす事が、

出来ない限り、仕事とするのは、

かなり難しいだろう、いや当たり前の話なのだが、

が、これはブログなので、興味のある方は、

 

読んで頂いて、無い方は、スルーで、

勿論、結構です。

まあ、ボウモアだけでも話し出したら、

止まらないのだが、少し気になる事がある。

 

サントリーさんが、初めてボウモアに、

介入して、30年以上、

完全買収して、後2年で、30年、

パフィームが好みの方には、

 

失礼な話だが、私の中では、

パフィームとの戦いだったように思う、

では、何故、パフィームがいきなり出たのか、

古い話でなので、もう解る方など居ないと思うが、

 

私には、少し思い当たる節があるが、

これは、あくまで私の見解と推測で、

不確かな話である事を、頭に入れてから、

読んで頂きたい、

 

2002年か、2003年だったか、

正確には記憶していないが、

私が、業者さんから連絡があり、

64年蒸留のブラックボウモアを、

 

買い付けに行った時の話なのだが、

前のラベルが、もうボロボロで、

後ろを、撮影しているが、

これが、そのブラックボウモアの空き瓶である。

この時、聞いた話なのだが、

このブラックボウモアは、

昔の蒸留器で、蒸留した最後の物で、

次からは、新しい蒸留器になると、

 

話されていた。当時は、ただ単にそうなのか、

と、思っただけだったが、

数年前、あっ!と、思った事がある。

マッカランの1964年と、1965年、

これなのだが、1964年は、

正に、オールドマッカランと言う、

素晴らしい、果実香を放っていたのだが、

一方の1965年は、

 

粘着性のあるような感じの、

かなり強いパフィームを放っていた。

何故、こんなにも違うのかと、

調べたら、丁度この時に、

 

マッカランは、蒸留器の増設を行っていた。

故に、可能性としては、

65年は、新しい蒸留器で、

蒸留された物が混ざってたのではと、

 

その時に、ブラックボウモアを、

買い付けに行った時の話を思い出した。

これが、本当なのか、真偽の程は解らないが、

もし、本当なら、蒸留器の入れ替え、

 

若しくは増設が、あったのでは、

その新しい蒸留器が、パフィームを、

生み出したのではと、

多くの方が、70年代からボウモアパフィームが、

現れたと書いているが、私は、もう少し早く、

既に65年頃から、パフィームは出ていたのでは、

と、思う、これが私の推測である。

しかし、謎は続くのだが、

 

ボウモアの場合、長いような気がする。

89年に、サントリーさんが介入するまで、

と、なると20数年間、パフィーム原酒を、

造り続けたことになる。

 

やはり、他にも問題があったのだろう、

が、もし本当に蒸留器の入れ替えや、

増設があったのなら、蒸留器の可能性も、

考えられるが、マッカランの場合、

1973年にも、パフィームはあるが、

65年に比べると、かなり弱くなっている。

まあ、マッカランの場合、増設なので、

旧蒸留器も存在していたので、

 

ブレンドする事は可能だろうが、

ボウモアは、どうだったのか、

入れ替えたのか、増設したのか、

その辺りを、スコットランドに滞在中の、

 

ケイスケ君が、必ずアイラ島には、

渡ると言っていたので、

ボウモアの蒸留所に立ち寄り、

もし、昔の事が解る方が居れば、

 

聞いて欲しいと、お願いしているので、

報告を待つ事にした。

が、サントリーさんが介入して、

何をしてパフィームが止まったのか?

 

その辺りも、はっきりとは解らない、

まあ、それは聞いても答えてくれないだろう、

しかし、私の推測だと、

奇しくも、マッカランボウモアは、

 

65年と言う、同じ年に、パフィームを放った事になる。

マッカランも、25年も、30年も、

沢山飲んで来た。これが本当に悲しい話で、

何の知識も無く、ただ飲んだだけで、

 

何も伝える事が出来ない、

この、私の後悔から、今の若い方達には、

正確な情報と知識を持ち、

ウイスキーを愉しんで貰いたいと、頑張っている。

 

残念ながら、オールドボトルは用意は出来ないが、

これだけは言えるだろう、

オールドボトルだから、必ず良い物とは、

限らないと、しかし、それも自分の好みの問題である。

最後に、このパフィームだが、

アブサン等を飲む、ヨーロッパ系の方は、

好みと言う事を聞いた事があるので、

もしかしたら、当時の流行りだったかも・・・