まあ、今夜も暇かと、先日、
店を開け、準備を済ませて、
ふと、外を見ると、人影が、
あれ?えっ!
そこには、オープン当初から、
通われている常連氏の姿が、
しかし、10数年前に、
東京に転勤になられて、
今は、数年に一度お会いする程度、
今回は、大阪に出張で来られたようだ。
いや、お久しぶりですと、
今年、年賀状を頂いたので、
お返しに、安いウイスキーだが、
お送りしたので、そのお礼にと、
来店されたようだ。
まずは、ギムレットを、
この方、BARの飲み手の見本のような方で、
決して、通のような事は言われない、
常に自然体で、プロと素人の飲み手を、
きっちり線引きされている。
ウイスキー通だ。BAR通だと、
ムキになって向かって来る人は、
なんら、恐くは無いが、自分の領域、
プロの領域を超えて来ない自然体が、
底が見えない分、得体の知れない、
オーラを感じる。
この方のコメントには、
臭覚や、味覚に対しては、
私如きでは太刀打ちできないと思う事が、
多々あり、緊張する飲み手である。
今、私が出来る最上のギムレットをお出ししたが、
時代なので、マスター良いですか?
と、カメラを取り出された。
はい、結構ですよと言うと、
もう一台、違うカメラも、
カメラによって色合いが変わるので、
折角、作って頂いたので、
と、2台で撮影し、美味しいと、
この方、元々関東方面の方で、
私は、生ライムを絞り、
カリブと言うシロップで甘みを調整するが、
関西方面の方は、ドライ傾向だが、
関東方面の方には、シロップを多めにしている。
が、本来ギムレットは、ライムシロップである。
色々と、昔話をして、
懐かしい時間が流れた。
そして、キルホーマンをと、
では、ロッホゴルムなど、
と、お出ししようとすると、
マスター、グラスを変えて欲しいのですが、
ん?あ、そうか、この方が来られていた時期は、
まだ、当店にはティスティンググラスでは無く、
ショットグラスを使っていた。
今では、当たり前のティスティンググラスだが、
2000年代では、まだ珍しい存在だった。
どうも、これで飲むのに慣れてしまって、
いやいや、構いませんよと、
氏は、鉄道マニアで、
旅行管理資格者の資格も持っておられ、
全国のJR線は、ほほ制覇されたと、
で、旅先で、色んなBARを巡られている。
そして、飲み終わると、
いつもの儀式が始まる。グラスの中の、
一滴を、手のひらに垂らし、
両手をすり合わせ、鼻に近付け、
最後の最後まで、香りを楽しまれる。
この光景を、ウイスキーを造られている方が、
見れば、自然と頭が下がるだろう、
いや、私ら、ウイスキーを売る立場の、
人間も、勿論、頭の下がる思いである。
キルホーマンは、良くなりましたね、
しかし、出だした頃の荒い時も、
懐かしいですね、
決して、ネガティブでも否定的でも無く、
実に良いコメントである。
心豊かな人間性が伺える。
まあ、この方、店ではネガティブ発言は、
ほぼ聞いた事が無い、
唯一、大阪を離れるのは、
寂しいと言ったぐらいだろう、
おかでで、その夜は気持ち良く、
良い仕事が出来ました。
今度は、いつ会えるか解りませんが、
又、いつの日かお会いできるその日まで!