オミクロン、オミクロンと、
じわじわと、感染者が増えて来て、
不気味な状態になって来ている。
やはり、その影響なのか、
凄まじく寂しい年末だった。
店の灯りもまばらで、
休業しているお店も多く、
特に、大晦日、休もうかと思ったが、
毎年、来られている常連氏も居るので、
取り敢えず、開けていたが、
外を歩く人も居らず、静寂に包まれ、
その常連氏と二人だけ、
こんな時まで、ウイスキーを飲みに来るのは、
やっぱり、変人ですよと、
まあ、一般人からすれば、そうなるだろう、
と、言う会話を交わしていると、
ドアが開いた。そこには、
いや、コレクター、この方、
自宅に1500本以上のウイスキーを、
持っている。筋金入り、
いつもの常連氏も自宅に150本の、
ウイスキーをお持ちだが、
当店にはモルト仙人と、
呼ばれる。3500本以上の、
ウイスキーを所有されている方が居る。
何事も、上には、上が居るが、恐ろしい世界だ。
そして、大晦日、完全に変人達の宴と化した。
その時、明石の方が、ゴソゴソと、
カバンを探り出した。
「マスター、良かったら飲みませんか?」
と、引っ張り出したボトルが、まさかの・・・
まずは、この色、真っ黒、
まるで、カラメル着色のような、
いつもの常連氏と、
15ml程度づつ頂き、乾杯!
鼻を近づけると、ぐわっ!
久し振りの焼けゴム臭、
が、瞬時に変わり、甘い、しかもかなり、
メイプルシロップを煮詰めたような、
それを、焼けた木の枝に塗ったような、
焦げと、甘みの香りが、分離して、
トルネードで、巻き上がって来るような、
これ、本当にマッカランなのか?
ブラインドなら、全く解らないだろう、
しかし、危ない、ギリギリで立っている。
※「樽負け」寸前を、前足で踏ん張っているような、
思わず、頑張れ!と、言いたくなるような、
しかし、濃い、濃厚、濃度が高い、
40年の時が、濃縮されている。
いや、これをマッカランと言うなら、
が、これを普段飲みにするのは、
些かキツイものがあるだろう、
久し振りの長期熟成ボトルの
余韻に浸りながら、2021年に、
静かに別れを告げた。
終わり良ければ総て良しである。
ありがとうございました。
※「樽負け」樽の影響が強く出過ぎた場合、
ウイスキーは、バランスを崩してしまう、
それを、俗に「樽負け」と言う