黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

酒通信 大晦日の1969

オミクロン、オミクロンと、

じわじわと、感染者が増えて来て、

不気味な状態になって来ている。

やはり、その影響なのか、

 

凄まじく寂しい年末だった。

店の灯りもまばらで、

休業しているお店も多く、

特に、大晦日、休もうかと思ったが、

 

毎年、来られている常連氏も居るので、

取り敢えず、開けていたが、

外を歩く人も居らず、静寂に包まれ、

その常連氏と二人だけ、

 

こんな時まで、ウイスキーを飲みに来るのは、

やっぱり、変人ですよと、

まあ、一般人からすれば、そうなるだろう、

と、言う会話を交わしていると、

 

ドアが開いた。そこには、

たまに来られる。明石市在住のウイスキー愛好家、

いや、コレクター、この方、

自宅に1500本以上のウイスキーを、

 

持っている。筋金入り、

いつもの常連氏も自宅に150本の、

ウイスキーをお持ちだが、

当店にはモルト仙人と、

 

呼ばれる。3500本以上の、

ウイスキーを所有されている方が居る。

何事も、上には、上が居るが、恐ろしい世界だ。

そして、大晦日、完全に変人達の宴と化した。

 

その時、明石の方が、ゴソゴソと、

カバンを探り出した。

「マスター、良かったら飲みませんか?」

と、引っ張り出したボトルが、まさかの・・・

 

 

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スペイモルト マッカラン40年 

1969~2009 GM社のボトラーズだが、

まずは、この色、真っ黒、

まるで、カラメル着色のような、

 

いつもの常連氏と、

15ml程度づつ頂き、乾杯!

鼻を近づけると、ぐわっ!

久し振りの焼けゴム臭、

 

が、瞬時に変わり、甘い、しかもかなり、

メイプルシロップを煮詰めたような、

それを、焼けた木の枝に塗ったような、

焦げと、甘みの香りが、分離して、

 

トルネードで、巻き上がって来るような、

これ、本当にマッカランなのか?

ブラインドなら、全く解らないだろう、

しかし、危ない、ギリギリで立っている。

 

※「樽負け」寸前を、前足で踏ん張っているような、

思わず、頑張れ!と、言いたくなるような、

しかし、濃い、濃厚、濃度が高い、

40年の時が、濃縮されている。

 

いや、これをマッカランと言うなら、

マッカランの12年は、ハーブティー程度、

が、これを普段飲みにするのは、

些かキツイものがあるだろう、

 

久し振りの長期熟成ボトルの

余韻に浸りながら、2021年に、

静かに別れを告げた。

終わり良ければ総て良しである。

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ありがとうございました。

※「樽負け」樽の影響が強く出過ぎた場合、

ウイスキーは、バランスを崩してしまう、

それを、俗に「樽負け」と言う