立ちはだかる大波、
冬の日本海の、
恐ろしさを目の当りにした。
しかも、まだキャリアも無い、
経験値が低すぎる私達、
が、無情にも大きすぎる波、
良く解らず、取り敢えず、
真っ向から挑む、
ドルフィンスルーと言って、
波の下を潜り、
波の向こう側に出るのだが、
凄い勢いで弾かれる。
しかも、あまりの水温の低さに、
体が思うように動かない、
当時のウェットスーツ等、
今の物に比べたら、
性能の低さは、
歴然、肩が回らない、
押し戻され、波に巻かれる。
溺れる。ん?が、気付いたのは、
太平洋側と、日本海側では、
波の力に違いあり、
巻かれても、左程、
苦しくないのだが、
アウト、沖に出れない、
ドンドン体が冷えて来る。
必死で、がむしゃらだった。
と、何かの拍子に、アウトに出た。
出ると左前方に、彼が波待ちの体制で、
ボードに座っている。
と、確認出来た瞬間だった。
そこは、神の領域だった。
強烈な、オフショアー、
陸からの風で、波のトップが、
吹き飛ばされ、シァワー状になり、
それが、陽の光に照らされ、
小さな無数の虹が、
あちこちに、
な、何だこれは、見た事も無い、
摩訶不思議な光景だった。
すると、彼が手を伸ばして、
何かしている。
近づくと、何か叫んだ。
良く聞こえなかったが、
口元が、レインボーと、
言ったような、
ん?レインボー確かに、
虹だらけなのだが、
手を伸ばしている。
しきりに・・・
あ、まさかキャッチ・ザ・レインボー、
気付いたら、面白くて、
吹き出してしまった。
それは、彼のレコードで良く聞いた。
レインボーの代表曲、虹をつかもう
Catch the Rainbow ↓
その時に、一緒に行った。
高校時代からの親友を、
2000年に海難事故で亡くし、
今回、中学時代からの悪友を亡くし、
あの時の海を、波を、虹を見た
三人が、私だけになり、
思い出が、傷跡のようになり、
残ってしまった。
まさか、この言葉を、
使うとは思わなかったが、
友よ、お前もか、
安らかに、眠れ・・・
Rainbow - Catch The Rainbow (1975)