悲しい事件が起こった。
心が痛む、
長年この夜の世界に居る。
この世界、あるようで無く、
無いようである。
不思議な世界だ。
非現実的空間、非日常的空間、
その中に身を委ね楽しまなくてはいけない、
幻のお酒があるかも知れない、
素敵なバーテンダーが居るかも知れない、
美しい女性と出会えるかもしれない、
かも、知れない・・・
あくまで、かも、知れないなのだ。
私も生活があり、子も育て、
税金も払い、必死になって居る。
今、揃えているお酒が今の私の限界なのだ。
しかし、それでも何食わぬ顔でカウンターに立っている。
仕事だから、水鳥と同じく水面下では足をバタつかせている。
人を招待するのだから、当たり前の事だ。
そして招待された方も、
BARと言う舞台に立つ演者だと私は思う、
その日を、その一時をいかに粋に演じるか、
それが夜の世界の遊び、
あくまで遊びなのだ。
夜を遊ぶ、
それはBARでも、スナックでも、
皆同じ事、
どういう店であろうが、
綺麗に遊ぶ、
この言葉に尽きる。
無粋になってないけない、
何故か、
ニュースの速報でも流れたが、
隣の町のスナックのママがナイフで刺され、
亡くなった・・・
これが無粋の行き着く果てだ。
あくまで遊びで、
あくまで、
かも、知れないなのだ。
これが夜の世界の暗黙のルールなのだ。
まだまだこれからだと言う年齢なのに・・・
ご冥福をお祈り申し上げます。