少し前だが、
私より少し年上の方がお二人、
女性の方が、
「マスター、ブログ書いてますよね」
よく聞くと、2年程前からこのブログを読まれているらしい、
申し訳ない、こんな乱文を・・・
不景気で店も暇で、
このブログもいつ辞めようか、
そればかり考えていたが、
そういう方が来られると、
続けていて良かったと、
しかし何も無い時に絞り出すように書くのは、
本当に辛いが、
これが意外な効果が、
考え込む、考え込む、
と、思いつく、
これを繰り返していると、
カクテルに行き詰まった時、
考え込む、考え込む、
と、思いつく、
そのスピードが格段と早くなった。
意外な効果、
しかしそれも続けたからだ。
すると先日、
かなり若い男性客が一人、
あどけない表情、
ん?大丈夫なのか・・・
一抹の不安がよぎったが、
「実はブログを読んでまして、いつか来たくて」
そ、そうなのか・・・
しかしいつも暇だ。暇だと書いているが、
その日は連休前なのか、まさかの満員御礼、
あまり相手をしてあげれなかった。
そして一杯数千円のウイスキーが次々出るのを見て、
かなり驚いていたが、大丈夫だろうか、
又来てくれればいいのだが、
その次の日、早い時間に、
これまた若い青年が一人、
「ジントニックを」
それなら、今いいトニックがありますが、
キニーネの入った。
「日本では劇薬とされるやつですね」
よくご存知で、
「実はブログを読んでまして」
「・・・・」
驚いたこれだけ続いて来られたのは初めてだ。
しかも、皆お若い、
が、若いからだ。
若いからこのネットの世界も慣れている。
そしてこの方、BARに通うのが趣味だと、
何といい趣味だ。
そして、色んな店にもお邪魔したと、
中には東京は銀座の名バーテンダーのお店にも、
この若さで・・・
いや〜、頭が下がる。
その後、これまたブログを読んで、
20歳になったので来ましたと、
最近よく来るようになったケイスケ君が登場、
意気投合していたが、
この二人の20代の若者の口から、
オーセンティックと言う言葉が何度も出ていた。
オーセンティックとは、本物、本格的というような意味で、
本格的なBARの事をオーセンティックBARと言うのだが、
しかし当店はそんなにたいそうなものでは無い、
そう思えば、成長が止まるような気がする。
まだまだ幕下で十分、横綱を夢見て、
上を見上げて行こう、
そして、私はオーセンティックとは、
自分で言うものでは無いと思っている。
人がそう思い、そう思った人が呼ぶものだと、
しかし最近は、確かに種類分けの中に、
オーセンティックBARとの項目があるので、
仕方なくそう書いているが、
私自身は、私が美味しいと思う物を追求し、
研究し、手作りで出来るものは作り、
いい物があれば購入し、
ただただ、それだけの事だ。
自分自身はあくまでフランクに、
お酒の事やBARでのマナー等気軽に質問出来るようにと、
が、確かに毎日、妥協と言うものと戦っている。
この下町の町外れ、
焼酎も置かず、頑なにウイスキーを売り、カクテルを研究し、
常に立ち止まらず、進化し続けている。
故に数十種類のカクテルは5年前に比べると、
かなり洗練された物になっているはず、
しかしそれとて、今の時点でに完成であり、
又、5年後にはもっと洗練されるはず、
いや洗練させないといけない、
終わりは無く、キリが無い、
が、それを仕事に選んだのは、
誰でもない私なのだから、
だからと言ってオーセンティックBARと呼ばれたいからでは決して無い、
先人がそうして事を、私は守っているだけ、
ただただそれだけの事だ。
しかし、こういう若者たちが増える事を夢みて、
この荒れ狂う下町で我慢に我慢を重ねて来た。
この子達の世界は、
この街のおじさん、おばさん達より遥かに広い、
ネットのお陰で日本中のBARの情報を持っている。
しかし、これからが本当の戦いかもしれない、
店が大きい小さい、下町だから、
辺鄙だからに関係なく、
ネット世界では、既に日本中のBARを相手にしなければ、
そんな時代が訪れている。
だからこそ、やりがいがあるのだ。
小さな街の中だけで、あの店はどうのこうの、
そんなレベルの低い話はもううんざりだ。
世界は広く、日本だけでもハイレベルなBARは星の数ほどある。
だが私の店には、どこの店にも無い、
私のやり方があり、
それは間違っていないと、
自分を信じ、
間違えのないように、
この若者たちを導こう、
それが私の仕事なのだ。
そして若者達へ、
一番大事な事は、
この街に象徴される。
井の中の蛙、
決して蛙になってはいけない、
しかし、やばい・・・
もっと勉強しなくては・・・
最近は発酵等の化学式まで話に出る。
しかし私もう50歳、いやまだ50歳、
が、そうだ私の尊敬する「伊能忠敬」は、
50歳の時、31歳の「高橋至時」の弟子となった。
その「伊能忠敬」に私の大好きな言葉がある。
正にこれに尽きる。
「歩け、 歩け。 続ける事の大切さ」
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