黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

ギブソンが無い街・・・

悲しい話を聞いた。

私は一体何をして来たのだ。
そしてBARとは、なんなのだ。
すっかり、肩の力が抜けた。
宝塚、堺、


私がしきりに出かけている町、
思いを馳せている。
その背中を押してくれる出来事だ。


お酒を静かに飲むと言う文化の無い町で、
10数年、頑張って来た。
しかし、この町から出た事の無い、
そこそこの年齢に達している方に、
いくら言っても無理だと、
言う事も解った。


今からの人達、20代、30代、
そういう人達に少しでも伝えて行こう、



しかし、先日、カップルの方が来られた。
女性に方が、ジンベースのカクテルをと、
そう言われても、
何が良いのだろう、
しかし、長年の勘、
何かを隠している。直感的にそう思った。


そして、私はカクテルを作らず、
ジンベースのカクテルの話しをし、
カクテルの名前を次々と口にしてみた。


何個目だっただろうか、
私がジンベースで出てくれて一番嬉しいのは、
ギブソン」です。


と、言った時、その方の顔色が変わった。
そして、まさかの答えが、
「ギ、ギブソン出来るのですか?」


「・・・・」
そして、「ギブソン」をお出しして、
こんなに喜んで戴いた事は今まで無かった。


ギブソンが出来ない・・・
聞くと、何軒かのお店で、
ギブソン風なら出来ますが」
と、言われたと、

ギブソン風・・・
ギブソンもどきか・・・
気味の悪いカクテルだ。



察するにパールオニオンが無いのだろう、
買えば済む話だ。
そのカクテルを飲みたくて、
楽しみにして、来られた方に申し訳なく思わないのか、
当店でも出来ないカクテルも確かにある。
しかし、ギブソンジンベースの代表的な存在だ。


パールオニオン、一瓶買っても数百円、
古くなったら、心苦しいが廃棄し、
新しい物を補充する。



3流の私とて買っている。
それが生きがいとしての仕事、
バーテンダーだと思うのだが、


来て、相談してくれたら、
私とて、パールオニオンは、全て使い切れない、
小瓶を持って来てくれれば、
パールオニオンぐらい、


まあ、あまり言うと、
怒られた。怒られたと言われるので、
止めよう、
しかしもっと世の中に出るべきだ。


この小さな町が全てでは無い、
先日届いたサントリーさんの、
ブルガルカクテルブック、

沢山の美しいカクテルが載っている。

その中に不気味なカクテルが・・・



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