黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

桑名さん頑張って下さい!

桑名さんが倒れて一週間近くなる。
眠れない日々が続く・・・
何もしたくなくなった。


今は、面会はもう出来ないが、
状態は安定しているようだ。


店には兄貴を慕う方たちが次々と、
話を聞きに来る。


その中に見知らぬ男性が居た。
○ライデーの記者だと、
少しムッとなったが、
兄貴の心温まるエピソードを、
よく来られていた店に聞きに回っている。


と、それなら話そう、
が、涙が溢れ、上手く話せない、
感情の起伏が激しい人、
所謂、熱い人だ。


時に優しく、時に厳しく、
何度、怒鳴られた事か、
しかし、それも私には嬉しかった。


私の店には数本のギターがある。
その中の一本を気に入られ、
いつも朝まで、弾き語りをしてくれた。
決して高いギターでは無いのだが、


兄貴が弾くと聞いたことも無い、
大きな音が出るのだ。
しかもあれだけ、弾いても、


弦を一度も切った事が無い、
兄貴がギターを弾くと、
私は仕事もせず、
いつも兄貴の指の動きを見つめていた。


そして、その音楽、それが一番兄貴が熱くなる。
何度もこういう事があった。


店で同席した。若い人が、
「僕も、ギター弾くんです」
と、言うとすかさずギターを渡し、
「よし、弾け」と兄貴は言う、


「いや〜、そんな桑名さんの前で・・・」
これが、一番兄貴がキレる一言なのだ。


記憶を辿り、出来るだけ正確に書こう、


兄貴の言葉
「音楽、ギター等は、コミュニケーションのツールだ。
コミュニケーションとは、会話と同じだ。
今、君は俺に自分はギーターを弾くと言った。
それは、会話が出来ると言った事と同じだ。
話せると言って、話せと言うと出来ないと言うのなら、
初めから言うな!」


何度も聞いた言葉だ。
そして、兄貴はどんなに下手クソなギターを弾こうが、
恐ろしいぐらい歌が下手な人が歌おうが、
一度も貶したり、馬鹿にしたり、怒ったりはしなかった。
いつも、


「おお!いいぞ! 頑張れ!」
と声を掛けていた。
兄貴に言われたら、それゃ〜誰でも自信が付く、
私とて、その一人だ。


この話を記者の方にしてると、
私も声が詰まったが、
記者の方も泣いておられた。
「なんていい人なんだ」と、

そう、桑名正博とは、そんな男なのだ。
豪快だが、繊細、


私は兄貴の職業がロックンローラーとは思わない、

兄貴の職業は「桑名正博」だと思う、
唯一無二なのだ。
そう「桑名正博」と言う生き方なのだ。


親愛なる兄貴へ、
私は奇跡を信じています。

皆さんも是非、応援して下さい、
そして、祈って下さい、


頑張れ!兄貴!