黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

マルガリータ、悲劇のカクテル!

マルガリータが一度に二杯通った。
このマルガリータという
テキーラベースのカクテルなのだが
少々曲者なのだ。
グラスの縁にスノースタイルという
塩を付けるのだが、当店のショートカクテルは
90mlでグラス一杯をきっちり入るように
作るのだが、塩がある分、少し量を減らして
微調整し、80ml程度にするか、きっちり作り
シェーカーで入れる時に調整するとういう
二通りの出し方で提供するのだが
先日、その若い女性の二人組はテーブルに座った。


その日は珍しく忙しく混乱していた。
私はむしゃくしゃしていた。
相変わらず脇以外の体の部位が全て臭く、
冬だと言うのに、鼻らかダラダラ油を垂らす
名古屋人の従業員、感想肌知らずの金髪に持って行かせた。
少し多めに作っているからと、何度か金髪に告げた。
金髪は得意げに注いでいた。マルガリータ
恋人を亡くした悲劇のカクテル
そして金髪にも悲劇は訪れた。
シェーカーを、カチャカチャと大きな音を出して降り注いでいる。
完全に一人の方が極端に足らないのだ。
もう一人の方と比べると、半分ぐらいしかない、
バーテンダーとして、こんな恥かしい事は無い、
最低の行為だ。容量を間違えている。
無様とはこういう事かと初めて知った。


金髪は尚も必死で、シェーカーから何かを出そう
としているのだが、出るわけが無い、無いものは無いのだ。
だが金髪は必死!何かを出そうとしている。
(ジャク・バウアー口調で)HEY、金髪!一体何が出てくるって言うんだ?
石坂浩二口調で)頑張れ金髪!負けるな金髪!
向かって左側の女の子が、笑いを堪えるのが限界に達し、
体がブルブル震え出したのだが、容赦無し!
必死の金髪、もう氷が砕けて出てきそうだ、、、
大きく振りかぶる金髪、投げた!
チャッチャ、チャララーン、チャチャ、チャラララン
振る!出ない!振る!出ない!振る、、、
雨の中の甲子園、延長12回、長い格闘が続いた末に

ついに動きが止まった。
どうした金髪、肩を痛めたのか?
いきなり振り向き、
鼻から大量の油を出し、鬼のような形相だ。
そして声を出さずに唇が動いた。
「た、たらん」と、後ろで女の子がたまらず噴出した。
私も噴出しそうになったが、必死で堪えた。

そしてすかさず気配を消してやった、
金髪は荒野に一人、風に吹かれて立っていた、、、
草が枯れて輪のようになった物が
そこらじゅうを転がっていた、、、
大滝秀治口調で)もういい、試合は終わったんだよ、
これが私の完全に営業を無視した。
悪質な悪戯だと解ったら
きっと金髪は怒るだろう、
ん〜誰にも言わず、内緒にしておこう、、、


その日は忙し過ぎて混乱していたのだ。
その前に男女のグループが10人で入ろうとした
構わないのだが、かなり窮屈になる。
入るのか、入らないのか、、、
それも決めずに入り口で、ずっとグチャグチャしている。


‘@+@%#!(はよ決めろ!)
だいたいBARに10人、予約も無く
毎年この季節はこうなのだが、
そんな人数で来る所では無いという事も知らない、
本来はお断りなのだが、それをはっきり言うと
田舎町、大正、あそこの店は高飛車だと言われる。
だから自分たちで無理な事を確かめさせているのだ。
本格的なBARなら当然、団体客はお断りなのだ。
店の前に、5名以上はお断りと書いている店もある。


見ると30代ぐらいだ。
身なりは綺麗にしているが
そういう事は知らないので
田舎者だとすぐにバレる、、、


そういう時は、一番綺麗な女の子を誘って
群から離脱して、二人でBARに来るんだよ!
バーカ!
カラオケBOXじゃ無いってんだよ〜!


そうだ、そろそろというか、
正にカラオケBOX世代の到来なのだ。
部屋、部屋に分かれて遮断されている所で
遊ぶ事に慣れている人種、これが、たちが悪い
周りを気にしない、だからBARの扉も
カラオケBOXの扉と同じなのだ。
中には他の人がいるのだ。
寒いだろ、早く閉めろ!馬鹿!


他人の事はお構いなし、
そんな奴ら相手にこれから商売をして行くと思うと、
吐き気がする、、、
のだが、今日の悪戯は何をしようか?