黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

まこたん

全く持って暇な夜だった。
数日前いつもの如くダラダラとした時間が流れていた。
私は少々風邪気味で、咳がコンコンと繋がらない電話の音のように
出ていた。閉めようかなぁ、、、


ふと扉が開いた。
女性客が一人、、、一見さんか?
私はカウンターに座り背を向けていた。
「なんで無視してるの、坂本さん」
懐かしい声だった、、、


振り返ると故「竹内ゆうじ」の奥さん
「まこたん」が立っていた。


「や〜久しぶりやね〜」
少し驚いた。久しぶりの再会なのだ。


取り留めの無い会話が続いた。
彼女に会うといつも話題を変えようとする。
卑屈な私がいるのだが、やはり「ゆうじ」の話になる。
仕方ないのだが、嬉しくもあり、悲しくもあり
虚無感が走る。


「ゆうじ」の子供の話を聞いた。
何もしてあげれない私の愚かさに気付くが
立派に成長しているようだ。良かった、、、


短い間だったが私の中に在りし日の「竹内ゆうじ
が蘇った夜だった、、、
そうもう10数年前
「ラップマン」というキャラクターを考え
本を書きイベントをしたのだが、
その中でオリジナルのテーマ曲も作った
「ゆうじ」の信じられないぐらいの音痴のせいで私が歌った。
何かと少しだけ才能がある私なのだが、
まあ馬鹿馬鹿しい曲だ。


♪♪
ララララ ラップマン〜
哀しみ抱いて〜
今日もどこかで (ゆうじ)ペロペロペロ〜


この曲のフレーズの中にセリフがあり「ゆうじ」が語るのだ。
厳密には歌え無いので、セリフにしたまでなのだが、、、


(ゆうじ)「チキンラーメン生で食う そんな奴らを許さない」
これは3分も待てない忙しい人生を送らず
ゆっくりと生きようと言う私のメッセージなのだったのだが、
「ゆうじ」は慌しい人生だった。


それが昨日「肝臓を四つ持つ女」あ嬢のブログを覗くと
このチキンラーメンのフレーズを覚えてくれていた方が
コメントを入れていた。
驚いた10数年も前の1日だけのイベントで
使った曲をよく覚えているものだ。


久しぶりに「ゆうじ」に会った思いがした。


「ゆうじ」は死ぬというやり方で
違う世界に行っただけなのだ。
私もいつか行く事になるだろう、、、、
待っていてくれ



「あいつ」
馬鹿がいた。
限りなく馬鹿に近い馬鹿だった。
いや弧を描いた光跡の中に今も馬鹿がいる。


時に近く時に彼方に、、、
その馬鹿が何かを持っていると信じていた。
疑いつつも信じていた。


旅をしていた。
長い永い旅を、、、
ある日気付いた。
馬鹿は何も持ってなかった、、、


悲しい結果のように感じた時に
初めて気が付いた。
何も持っていないという事を持っていたのだ。


良い物は無くとも、悪い物も無い
原点であり、原石であり、自然なのだ
良くするも、悪くするも人まかせなのだ


正論は時として邪論となり、
感じる者の心が鏡となり反射する。
「あいつ」はそういう奴だ。


居なくなった様で傍にいて、
触れるようで触れない
振り返るとキラキラした物が飛び交う


なんだろう
なんなんだろうか
答えは必要無い


ただ見えない手で、今も私を支えてくれている。
「あいつ」
もつれ合う記憶の迷路に光を照してくれる。
「あいつ」
どん底の時も、聞こえない大きな声で励ましてくれた。
「あいつ」


馬鹿は死ななきゃ治らない、、、
だからといって、、、
馬鹿は馬鹿ままでいいのだ。


愛すべき馬鹿に捧ぐ
沢山の思い出をありがとう!


あけみ嬢のブログ
http://blog.livedoor.jp/kv62kv62/archives/1393507.html


私も登場します!ゆうじの闘病日記です。
私が書けと勧めた日記ですが
文才の無いゆうじがどうするのかと思っていたら
な、なんと人にメールを打ちその返信をそのまま載せやがった
なんたる荒業、、、ゆうじらしい、、、
が、しかもその返信を写すだけの事なのに
間違っていた、、、、