音も立てず、スーッと、
入って来た。
身なりのキチンとした青年、
かなり、若く見えた。
注文を聞くと、
「ジンフィズで」
と、すかさず、
「腕試しですか?」
と、笑って答えた。
古くから、バーテンダーの、
腕試しカクテルとして、
有名なジンフィズだが、
現代では、冷凍庫の普及のより、
そう大差が出るものでは無い、
の、ような話をしたのだが、
そのジンフィズを飲んだ後だった。
かなり、驚いた。
若干30歳で、
かなりのウイスキーを飲んでいるようだ。
次々と、色んな名前が、
聞けば、かなりローカルな地で、
正統派BARでは無いが、
ウイスキーにも力を入れている。
お店が家の近くにあり、そこで色々覚えたと、
アットホーム的な、
スコッチパブのようだが、
しかし、まあ、良く知っている。
しかも、通ぶっている様子も無い、
が、そんな物を何故知っているのか?
の、連続、で、どうもオールドボトルを、
飲みたいようだが、数本お見せしたら、
これは、飲んでも良いのですか?
と、少し笑ってしまった。
飲んで貰う為に、
置いているのだ。
金額を言うと、即答だった。
かなり驚いていた。
確かに、安すぎるだろう、
が、まあ、こちらとしても、
飲みたい方に出してあげたい、
そこには、あまり儲けると言う、
意思は無い、
しかし、まあ、凄い記憶力だ。
まだ、ウイスキーを飲みだして、
ほんの数年だと言う、
私は、あまり自分からは、
職業を尋ねたりはしないのだが、
かなり興味が出て、
思わず聞いてしまった。
すると、やっぱり・・・
その資格が取れるなら、
ウイスキーの名前を覚えるぐらい、
造作無いだろう・・・