黄昏ウイスキー 

大阪は京セラドーム前の小さなジガーBAR「BARin」の日記 

今夜は・・・

慎ましく生きている。

色々とあり、大変な一年だった。

そして理不尽な仕打ちと、

日々戦っている。

 

 

毎日、毎日、

肉体的にも、精神的にも、

極限を彷徨っている。

が、しかし何たる軟弱者・・・

 

 

自分で選び、自分で進み、

歩いている。

ただ、ただ、それだけの事だ。

数多くの選択肢は、私自身にある。

 

 

今夜は、そんな選択肢の無かった男の話をしたい、

大正11年に生まれたその男は、

理不尽な召集により、

多感な青春時代を、

 

 

満州で過ごした。

戦場と言う名の・・・

大東亜戦争と言う人も居るが、

敢えて、第二次世界大戦と言おう、

 

 

そこには深い意味は無い、

そして生き延びた。

が、近年、この生き延びた事が、

幸せだったのか?

 

 

幸運だったのか?

数年前にそう言う映画を観た。

男は、この時期になると、

戦友と呼ばれる仲間が集まり、

 

 

浴びる程酒を飲み、

最後は皆で肩を抱き合い、

「ここは、お國の・・・」

と、大声で歌い、涙を流す・・・

 

 

男は言っていた。

戦争よりも、戦後のどさくさ、

戦争に行った者よりも、

内地の人達の苦労、恐怖・・・

 

 

その方が大変だったはずだと、

天秤に掛けるようなものでは無いが、

男は陸軍第四師団、第八連隊、

帰って来たら、

 

 

「またも負けたか 八連隊・・・」と、

罵り、からかわれた。

が、男は言った。

「アホやな、負けてるから・・・

 

 

誰も傷つけて無いんや・・・」

と、ニコニコしながら、

言っていたその顔が、

私の胸の奥に今も刻み込まれている。

 

 

男とは、今日まで行きていたら、

95歳の誕生日を迎えた。

私の父、勝夫だ。

今年の夏の終わり、

 

 

戦友達の元へ旅立った。

戦争が人を殺すことが目的ならば、

父は、ひつこく、ひつこく生き延びた。

勝利だ。大勝利では無いか、

 

 

大阪八連隊の大勝利だと、

私は思う、負けてはいない、

生き延びたのだから、

が、出来れば、来年は戌年

 

父の回り年だった・・・

頑張って欲しかったが、

残念だ・・・

今、初めて思う悲しいと・・・

 

 

私の誕生日の日に、

仮面ライダー」のレコードを買って来てくれた

父・・・今更言うが、

ありがと嬉しかったです。

 

 

初詣は良く、

バイクの後ろに私を載せ、

「大阪護國神社」に行った。

灯りもなく、出店も無く、

 

 

詣でる人も居ない、

悲しくなり、私が言った。

「なんでこんなとこに来るねん!」と、

父が、あの温厚な父が強い口調で言った。

 

 

「正月ぐらいは、ここに来たらなあかんねん!」

と、生き延びた者の悲しみ・・・

今になって、やった解った。

「そやな・・・おとん・・・」

 

 

今日が誕生日の我が父、

勝夫の名言を、今一度、

「アホやな、負けてたから、

 

 

 

誰も傷つけて無いんやん・・・」

賛否両論ありましょうが、

小さな町で、小さな家で生まれた。

小さな男のお話です。

 

 

どうか、反論だけは、

お控え頂ければと、

父と共にお願い致します。

読んで頂きまして、ありがとうございました!

 

 

「正月ぐらいは、ここに来たらな・・・」