黄昏ウイスキー 

大阪は京セラドーム前の大人の小さなBAR「BARin」の日記 

800本 2・・・

その日、妙な風が吹いていた。

別に胸騒ぎがした訳でも無く、

少々やる事があって、

かなり早くから店に居た。

 

 

凍てつくような寒さ、

辛抱が出来ず、

暖房もMAXに、

時間が来たので、

 

 

看板を点け、

タバコを・・・

と、思った時、

男は入って来た。

 

 

若いが、物静かそうな紳士、

入って来た所作を見て、

構えた。で、出来る・・・

 

 

かなりBARに慣れている。

百戦錬磨の強者、

目を細め、顔に出そうになった。

しかし、そこは平常心、

 

 

軽く会話を、

「今日も、寒いですな」

「そうですね、今日は少しだけマシですが」

う~ん、気温にも敏感なのか、

 

 

男が言った。

「流石ですね、早くから暖房を付けて、

店を温めてたんですね!」

たまたま・・・なのだが・・・

 

 

軽く、足払いをされた。

いかん・・・このままでは空気が張り詰める。

これは、私のスタンスでは無い、

お気軽、イージー、フレンドリー、

 

 

相手の世界に巻き込まれたら、

自分らしさを失い、

タダの店員になってしまう、

「何を飲まれますか?」

 

 

「エビスビールはありますか?」

ある。が、私の店の冷蔵庫には、

毎月のように、入れ替えている。

日本のクラフトビールが沢山ある。

 

 

しかし、それを説明すると、

時間が掛かり、スマートにはならない、

ここは、相手も風に乗るべきだ。

と、数秒の間に、脳の中が大阪マラソンのような人出になった。

 

 

手探り、手探り、

しかし、間合いを詰めなければ、

エビスビールを出して、言った。

「ラッキーエビスをご存知ですか?」

 

 

「いや、知りません・・・」

籠手が入った。

「このラベルの中に鯛が二匹あるんですよ」

「へぇ~そうなんですか」

 

 

何百本に一本だが、

恵比寿さんの籠のなかに、

もう一匹の鯛が居るエビスビールは実在する。

さあ、次の注文は・・・

 

 

そ、そこか・・・

 

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