黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

酒通信 地獄の釜が・・・

先日ハヤマン氏が持ってきた。
「笛吹郷」(うすいきょう)

1983年の25年物だと聞いた。
モンデ酒造のシングルカスクウイスキーなのだが、


早い時間ニュートラルな状態で試飲してみた。

流石にカスク64%、
強烈な刺激臭、鼻腔の奥が軋むようだ。
そして何かが燃えている。

火事だ!
しかも古タイヤのスクラップ工場が火事だ。
タイヤが燃えているような、
強烈なゴムの香り、
少し変化はしていくが、


このゴムの香りが強烈で、
中まで入り込めない、
少し前、これと同じような香りを嗅いだ事がある。
確か年代物のラムだった。


変化したようだが、
ゴムとアルコールの刺激臭が強すぎる。
少しだけだが酸味か?
冷麺に酢をたっぷり入れたような、
しかもその酢はリンゴ酢、
その冷麺の上には熟成されたキムチがたっぷり、



その冷麺を少し離れた所で、
嗅いでいるような、
いや、変わった。
中から強烈な香りが、
この香りは確か小学生の時、
自転車で遠出した。
帰り道に自転車のチェーンが外れ、


必死でチェーンをはめた。
泣きそうになり手を見ると、
手が真っ黒になっていた。
その時の手の匂いがする。


完全なる機械油・・・
むせる。目が痛い、
飲み込もうとするとためらってしまう、
しかし映画評論家 故「淀川 長治」氏は、
どんな映画でも必ず良い所を見つけ出していた。


が、私には無理だ・・・
しかし世の中は広い、お好きな方も居られるだろう、
決して否定は出来ないが、
何度か年代物のシングルモルトを開封した時、
精霊、妖精のようなものが飛び出して来たような経験をしたが、
このウイスキーからは、赤鬼、青鬼、
最後は閻魔大王に怒鳴られたような気がした。



名づけて「地獄の釜が開いた香り」がするウイスキー

当店のモットーは「飲んでいない酒は語るな」である。
強烈にオイリーな一杯を、
どうぞ!とは言いませんが・・・