黄昏ウイスキー 

大阪は京セラドーム前の大人の小さなBAR「BARin」の日記 

美味しんぼ  70巻 PTSD

では、続きを話そう、
美味しんぼ」70巻で、
サントリー」に苦言を呈していた主人公「山岡」氏、
物語の全体の印象は「スコッチウイスキー」の素晴らしさを語り、
そして日本の「ウイスキー」
「ニッカ」は別としても安物は曖昧な、
まがい物、と、言うような印象を、


あくまで、私は受けた。
少しお書きになった事と趣旨は違うが、
日本も素晴らしいウイスキーを造れ、
という事には、私も賛成だが、
安物のウイスキーが駄目なのか?
そして山岡さんは「ピアモルト」の存在を問うなら、
スコットランドの「ヴァッテッドモルト(ブレンデッドモルト)」を、
ご存じないのか・・・


では、山岡さん、一緒に来てもらおう、
昭和40年代、最近、NHK 朝ドラの舞台となった。
私の育った家は、火葬場のすぐ横、
人を焼いた煙がたち込め、


風呂も無い、貧乏長屋、
台所には、ゴキブリがフナムシのように溢れ、
その間を数匹のなめくじが這っていた。
私の父は町の小さな電気店、


TVや冷蔵庫を売っていた。
少し前までは、一からラジオ等を組み立て、
それを売っていた。
売れるか、どうかのその日ぐらし、
一日が終わり、父の楽しみはウイスキー、


が、大人になって、
私も解った事だが、
楽しみでは無かった。
必要不可欠な物だったようだ。


父は帰還兵、戦争に行っている。
そして、何故ウイスキーなのか、
答えは簡単だ。度数が高い、
ただ、それだけだ。


信じられないだろうが、
父は水割りグラスにウイスキーを半分、
それを常温のビールで割っていた。
そのウイスキーの量は、
多分90mlほど入っていた。
それを毎晩、5〜6杯、


仕事柄、お金持ちの家にも出入りする。
そこで、当時は高級な「スコッチウイスキー」等も、
貰って来ていた。
多分、修理代の代わりに、
が、いつも飲まない、
高いから、では無い、では父に聞いてみよう、
何故か?「高いウイスキーは、なんぼ飲んでも、
酔わへんから、勿体ないねん・・・」


そして、あまり酔わないで、寝た夜は大変な事になる。
真夜中に大声で叫び、手足をバタつかせ、
何かから逃げているような、
私も驚いて何度も飛び起きた事を覚えている。
聞くと戦争の悪夢のようだ。


今なら解るが、
PTSD 心的外傷後ストレス傷害、
「ニッカ」のウイスキーも飲んでいた。
勿論「サントリー」も、一番安い物を、何故か?
貧乏だから、まあ、そうなのだが、では父に聞いてみよう、


「これ、何か入れてるみたいで、すぐ回るんや」
何かが入っている事を、父は理解していたようだ。
が、何が入ってようが、無かろうが、安くて早く酔えたらそれで良かったのだ。
安物の1,5Lだったか、2Lだったかの大きなウイスキーが発売された時は、
涙を流す勢いで喜んでいた。
ゆっくり眠れると・・・


その頃、そんな病気は解らず、病院も無い、
唯一の薬が、安物の混ぜ物ウイスキーだったのだろう、
私達が常に提唱する「味わうウイスキー」では無く、
「酔う為だけのウイスキー」
父がよく言っていた。


「エチルより、断然美味い」と、
当たり前だが・・・
シングルモルト」の素晴らしさは、
当たり前だが、
重々解っている。


しかし、安物の混ぜ物ウイスキーが多くの人を救った事も確かだ。
上からばかり物を見ず、
下から見上げる事も、時には大事かと、
私も自分に言い聞かせた。
大事な事を忘れていたようだ。


戦場で飢えを凌ぐ為に、
ここでは書けない物まで食べた男が言っていた。
日本の安物ウイスキーは、
「エチルより、断然美味い」と・・・


幼少の私に快眠を与えてくれた。
サントリー」「ニッカ」等などの
安物ウイスキーに、美味い、不味いは別にして、
今では感謝している。
が、一方では何でも「水割り」にする日本人、
CMに出ているお酒しか信用しない日本人、
これに日々、悪戦苦闘している事も確かだ。
こんな日本に誰がした・・・


漫画も私達も夢を売る商売だ。
夢を売るためには、時には沈黙も大事かと、
美女は謎のままが、より美しい、
が、こういう貧しい時代の事も忘れてはいけない、
大事な事だと私は思う、
そして、歴史的に見ても、
スコットランドの資料では、1496年にウイスキーの記述が、
日本で量販され出したのは、1924年、
まだまだ、生まれたてなのだ。
そして、私も数年前から、立ち飲み屋さん巡りをしている。
どの店も驚くべき安さだ。


私はそういう事も踏まえて「味わうウイスキー」
高級シングルモルトの魅力を、
今夜も語ろう、
朝早くから、夜遅くまで働き続けた。
父達が作ってくれた豊かな国なのだから・・・


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