「どうだ！見たか！」と、
誰に向かってなのか、
全く解らないのだが、
昨日、親愛なる兄貴「桑名正博」氏の
葬儀が行われた。
通夜に参列させて戴いた私なのだが、
スタッフの方に
「明日はどうされます？」
と、聞かれ、多分、凄い人数になるだろうと、
欠席する事を告げた。
本当は、行きたくて、堪らなかったが、
やはり、謙虚にＴＶで観る事にした。
しかし、もし、娘が行きたいと言ったなら、
必ず一緒に連れて行っただろう、
何故なら、娘達が幼く、学費が掛かる時期、
兄貴が、どれだけ使ってくれたか、
娘達へ
「お前ら、誰に育ててもらったと、
思ってんじゃ！桑名正博やぞ！・・・」
そんなに間違いでも無い・・・
しかし、それも彼女達が、自発的に
「行きたい」と、言わなければ意味が無い、
もっと大人になったら解るだろう、
こんな事があった。
いつもの事ながら、若者達を連れて、
兄貴が店に来た。
その中の一人が、お誕生日だと、
兄貴が「おい、坂本、この子が誕生日やから、
シャンパン出したってくれや！」と、
あちゃ〜、その日、シャンパンが無かった。
しかし、スペインのスパークリング「カヴァ」で、
美味しい、と言うか飲み易いのがあった。
しかし、かなりお安い、大丈夫だろうか・・・
と、説明して、お出しした。
すると、兄貴が「おい！これ美味いやんけ」と、
よ、良かった。と、するとみるみる無くなり、
もう一本出してくれと、
よ、良かった。二本あった。
そして、兄貴が用事があるので、今日は帰ると、
私は、安いスパークリングが二本だけなので、
４名様だったが、数千円の伝票を兄貴にお出しした。
すると、兄貴の顔色が変わった。
「お前、おかしいやろ！」
ん？
「シャンパン２本も飲んで、何でこんな値段やねん！」
キ、切れた・・・
しかも、ち、違う・・・
ああ〜、又、ちゃんと聞いてくれて無い・・・
私は、シャンパンが無いので、
お安めの「カヴァ」でも良いですか？
と、お聞きしたのだが、兄貴は聞いて無かったようだ。
しかし、ここで反論すると、兄貴の炎は大きくなる事を、
私は、知っている・・・・
叩き込むように、大声で兄貴が言った。
「お前もこの商売で、家族を養ってんねやろ！
しょーむない遠慮するな！アホか！！」
店中に響く轟音だった。
な、何か間違っているような、
間違ってないような・・・
そして、みるとカウンターに数万円のお札が・・・
いくら何でも多過ぎる・・・
私は慌ててそのお札を握り、外へ飛び出した。
すると、兄貴はタクシーに乗り込んでいた。
窓を開けて、
「おい！坂本、又飲もうな！」
と、子供のような笑顔で、ニコニコ笑っていた。
こんな男に憧れ無い男は、アホだ・・・
うう〜、だ、駄目だ・・・もう無いと思うぐらい出た涙が、
又、溢れ出したきた・・・
そんな兄貴の葬儀が昨日、
棺が出て来ると大歓声と、拍手、
そして、その後の御堂筋の大パレード、
平日の昼間なのに、
凄い距離、４〜５ｋｍはあるはず、
その沿道を埋め尽くす、
人、人、人、人、
そして歓声と拍手、
その中継をＴＶで見た時、
「どうだ！見たか！」
と、涙と一緒に大声が出た。
もう、人生で、こんな大きな男に出会う事は、
無いだろう、唯一無二、
「桑名正博」
そんな偉大な人が、私の店で何度も、
何度も飲んでくれていたのだ。
有難い・・・
し、しかし、一度、昼過ぎまで飲み続け、気が遠くなった時は、
申し訳ない、心の中で、何度も帰ってくれと、
祈った・・・
親愛なる兄貴「桑名正博」さよなら御堂筋大パレード！
アップして戴いた方々、ありがとうございます！
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