黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

1、17

あれから、もう何年だ。
私は、北新地のBARの雇われマスター、
当時は、お酒は飲まずに、一生懸命働いていた。
その日、ビデオ屋さんで、「アフリカンダンク」と言う、
ケビン・ベーコン主演のバスケットボールのビデオを借りていた。


深夜3時頃、帰宅、ん?何だこれは?
驚いた事があった。星だ。
いつもは見えない星が、無数見えた。
暫らく、夜空を眺めた。
ビデオはなんて事の無い、内容だった。


5時過ぎ頃、床についた。
眠れなかった。
寝返りを繰り返していた時、
来た・・・・
阪神大震災、どん!
と、突き上げられたと思った瞬間、
布団から体がずれた。
タンスが揺れた。
柱がねじれ、バキバキと音を立てた。
危ない、瞬間、子供と嫁の上に、
外の壁が音を立てて崩れていく、
それが、下の自転車に当たり、
もの凄い音に・・・
それが、恐怖を倍増させた。


長い、な、何だこの地震は、
終わらない、揺れが続く、
ほんとに長かった。


治まったと思った瞬間、
ある事を思い出した。
偶然にも私は少し前に、
震災関連の本を読み、
非常時用のリックも用意していた。
その本によると、扉が開かなくなると書いていた。
慌てて、玄関に、ん?んん?



開かない・・・足で何度も、扉を蹴った。
何とか、外に、
すると、2軒隣のおばさんが、悲鳴を、
「助けて!!!」
行ってみると、やはり、扉が開かないようだ。
仕方ない、渾身の力で引っ張った。
扉と一緒におばさんが飛び出して来た。


「た、助けて!!koa5476##42q7u」
駄目だ、完全にパニックを起している。
背中を何度も叩いた。
おばさんを座らせ、マンションの外に、
2Fの私の部屋の外壁だけが、異常に崩れていた。


道路からはガスが噴出している。
工場の方から、サイレンが鳴り始めた。
この辺り、重化学工場などがある。
だ、大丈夫なのか?


その次の日から、全く眠れなくなった。
自衛隊のヘリが、
我が家の真上の上空を毎日、何度も、何度も通る。
その度に、轟音が響き、窓が外れそうになる。


多くの知り合いの方を亡くした。
しかし、この震災が私の背中を押し、
独立した。
いくら真面目に働いても、もう一度、これが来たら終わりだ。
なら、今のうちに、後悔の無いように、
と、本当にそう思った。


私の家のあった地区は、大阪市内では、多分、唯一、
激震地区に認定され、家は退去させられ、
被災者となった・・・
当時、娘は3歳、
家の壁を指差し、
「お父さん、外が見えるね」
と、言った。


崩れた壁の穴から、青空が見えていた。
今でも、目に焼きついている・・・・





全く話は変わるが、最近、家の近くに、
見た事も無い、鳥が次々と現れる。
ミナミの道頓堀にも、以前は、鳩かスズメしか居なかったのに、
こんな鳥が、これ名前なんですか?

これも、温暖化の影響なのか?
多分、あの人なら解ると思うんだけどな、
探してみよう・・・