黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

酒通信 マンハッタン

マティーニ」はカクテルの王様、
「マンハッタン」はカクテルの女王、
質問があったので、答える。
ドラマ「バーテンダー」で、フォアローゼスの
ブラックを使用していたが、
それは珍しい、多分、スポンサーの関係だろう、
と、以前書いたのだが、では私は何を使っているのか、
という事なのだが、


まずは、「マンハッタン」この意味から説明しよう、
地名としての、ニューヨーク、「マンハッタン」
これは、インディアンの酋長から
「マンハッタン」を安く買い取ろうとした白人が、
その酋長にたらふく酒を飲ませ、
契約書にサインさせた。


気付いた酋長は「マンハッタン!」と、
叫んだ。意味は「泥酔野郎」、
俺は泥酔だったから、契約は無効だと、
主張したが、時、既に遅し、
これが、地名としての「マンハッタン」の由来だ。


ではカクテルとしての「マンハッタン」は
1876年の大統領選挙の時、
「ジェニー・シェローム」が
候補者の支援パーティーを開いた。
その時考案されたのが、「マンハッタン」だ。
そのパーティーの場所が、「マンハッタン・クラブ」だった事から、
この名前が付いたという説が、一般的だ。
「ジェニー・シェローム」とは、
当時のイギリス大統領「チャーチル」の母親だ。
しかし、「チャーチル」は「マティーニ」好きで有名だ。


他には、メリーランド州、1846年、
負傷したガンマンの気付け薬として、
バーテンダーが出したという説がある。


後は、美しい、「マンハッタン」の夕陽をイメージした
とも言われる。
そしてレシピだが、
元来は、ライウィスキーなのだが、バーボン、カナディアンウィスキー等も、
使われる。
ライウィスキー     2/3
スィートベルモット   1/3
アンゴスチラビターズ  数滴
マラスキーノチェリー  1個


これが一般のレシピなのだが、
マティーニ」同様、バーテンダーの数だけ、
レシピはあると言われるのも、「マンハッタン」だ。
これも取り方だと思うのだが、
「マンハッタン」=「泥酔野郎」
「マンハッタン」=「チャーチル母、カクテルの女王」
の違いだと、私は思う、
ここに大きく溝が出来る。
やはり、「泥酔野郎」となれば、かなりキツイカクテルになり、
「カクテルの女王」と、女性をイメージすれば、
優しくなる。私の店のコンセプトは、飲み易く、優しいカクテル、


全てこれに統一している為、後者となる。
という訳で、これだ!


「チンザノ」のスィートベルモット
「オールドオーバーフォルト」のライウィスキー
そして、レシピは
ライウィスキー    3/4
スィートベルモット  1/4
マラスキーノチェリー 1個
アンゴスチラビターズは使わない、
レモンピールもしない、
日本では、レモンピールをする店が多いが、


海外ではあまりしない、
スィートベルモットを減らすのも、
甘みを減らし、飲み易くする為、
ビターズを入れないのは、苦味を減らすためだ。
レモンピールは、折角のエレガントな
香りに、水を差すような気がするからだ。
そしてこのライウィスキー
「オールドオーバーフォルト」が
実にいい、前後左右の深みを感じる。


作り方は、冷えたミキシンググラス
氷を入れ、スィートベルモットを少し入れ、
氷を回す。ストレーナーを被せ、そして捨てる。
この際、ミキシンググラスを、
手首で振り、大きく回しながら一気に捨てる。
氷を洗い、角を取るのだ。
贅沢だが、一度リンスするのだ。
水で洗う人もいるが、やはり繊細の物を作るなら、
これが一番だと私は思う、


再びスィートベルモットを入れ、
ライウィスキーを入れる。
マティーニ」の1,5倍程回す。
よく冷えたカクテルグラスに入れれば完成だ。
これだ!



繊細な「マンハッタン」、
しかも、科学的な赤ではなく、
薄い紅色をしている。
夕陽と言うなら、こういうものだと私は思う、
日本の「マンハッタン」大正区の夕陽をイメージした。
これは私の「マンハッタン」なのだが、
レシピ通りに作るのもいいだろう、しかし、
自分の「マンハッタン」を考案するのも面白いし、
勉強にもなる。


因みに、チェリーをオリーブに変え、ドライベルモットなら、
「ドライ・マンハッタン」
ベースがスコッチウィスキーなら「ロブロイ」
ブランデーになれば、
「キャロル」
ラムなら、「リトル・プリンセス」
確か、パセリの葉を沈める
「セントラルパーク」
という類似のカクテルもあったと思う、
あまり言わないが、バーボンで作ると、
「バーボンマンハッタン」と言う事もある。


お解り頂けただろうか、一つのカクテルにも、
思い入れはある。それがプロだと私は思う、


何時の日か、馬鹿ほど「マンハッタン」を飲み歩いた。
男が、あなたの店に現れるかも知れない、
練習しておこう!
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