黄昏ウイスキー  TWILIGHT WHISKY

大阪は京セラドーム前の小さな本格的BAR「BARin」の日記 

気になる人物 ざこば師匠

関西ローカル、土曜日のたかじんさんの番組、
なかなか激しい番組なので、毎週観ているが、
先週だったか、番組の終了間際、
「ざこば」師匠が、胸のすくような事を言った。


そのまま聞けば、ただの子供のだだのような事なのだが、
考えれば、深い話だと私は思った。
それは繁盛亭という小屋に楽屋の話だった。


若い落語家達が、昨今の禁煙ブームに乗り、
楽屋を禁煙にしたいという事になったらしい、
ある日「ざこば」師匠がいつもの通り、楽屋に行き、
いつものようにタバコに火を付けると、
こう言われたらしい、
「若い落語家達から、楽屋は禁煙にするとの事で、
外で吸って下さい」と、
師匠はキレた。「なんで、わしが外に出なあかんねん!
お前らが嫌やったら、お前らが出ろ!」


本当にその通りだ!いや全くその通りなのだ。
小さな道徳心を掲げ、先人を敬わない、
「それなら、俺はここには来ない」
と、言ったらしい、それは問題だ。
何故なら、若いものでは客が来ない、
その為の師匠だ。


そこだ、それが問題だ。
その小屋で客を呼べる人、それが一番偉い人となるのだ。
サラリーマンや、じわ〜っと居てるだけでいい公務員とは
大違いなのだ。それが芸道なのだが、
そこにサラリーマン気質や公務員気質を持つ若者が入って来るから、
ややこしくなるのだ。
いくら業務が出来た所で、水商売や、芸道には一切何の関係も無い、
「客が呼べる」この一言に尽きる、


鼻くそのような仕事が出来るようになったばかりの、
若い人にそれは多い、急に仕事とは何か、とか、
あいつは仕事が出来ないとか、すぐに口にする。
しかし、芸道には論外なのだ。
「ざこば」師匠も腹が立っただろう、
お前らが生まれる前から、この道を突き進み、


そしてその小屋も、師匠ありきなのだが、
そこに一つも理解が無い、
何億通りとある仕事のやり方の、
たった一つを見つけただけで、
全てが解ったと錯覚する。


師匠の気持ちはよく解る。
何も経験もしていない若造に何が解る。
バブルも知らない、バブルの後の悲惨さも知らない、
死にかけになった奴が、金を借りに来る。
毎晩のように、私も無い、仕方ない、サラ金で借りて、
貸してやる。蒸発、、、そのくり返し、
他人の借金をいくら返して来た事か、
しかし、後悔は無い、その時してあげられなかった方が、
後悔は残っただろう、、、


震災から立ち上がる時のパワー、区役所に毎日、
ウーロン茶や、ミネラルウォーターを一箱届け、
仕事に行く、家にある服という服は、神戸に送った。
夜、店の前を歩く、リック姿の人達に、ミネラルウォーターや、
おにぎりを渡した。何かせずにはいられなかった。
早く、神戸が立ち上がらないと、店が大変な事になる。


TAXIが無く、帰れないホステスさん達を、
西宮まで、何度も送った。帰りは夜明けだ。
全ての事柄を全て無償でやって来た。
こんな事をあまり、人に言った事も無い、
もっと凄い事をしていた人を沢山知っているからだ。
そんな経験の一握りでも、した事があるのか?
どうせ、筋肉マンの消しゴムを鼻の穴に詰めて、遊んでたのだろう、
自分の範疇で出きるボランティアを、半年以上は続けた。


今思えば、大変な苦労だったのだろうが、
その時は何とも思わなかった。
必死だった。ただ単に必死だった。
苦労とは、そういうものだ。必死になれば何も感じない、
中途半端にやると、愚痴を吐く、


それをただ少し、人生の扉を開けただけのクソガキに何が解る。
誰が見ても解るその人の欠点を、
見つけると、天下を取ったように意気込む馬鹿達、
そしてその人の持ついい所は探そうとはしない、
いや、あったとしても認めない、


師匠がタバコを吸う、それが嫌なら、てめえが客を呼んでから言え!
ところが、今の人は便利だ。それとこれは違うのだ。
TVゲームやネットと現実の区別は出来ないくせに、
そこは出来る。そして負け無し、絶対に人に負けない理論を持っている。


知らない事は、「興味がないから」、これで全てを終わらせる。
自分の知ってる事、得意な事は、人が嫌がっていても、唾を撒き散らし喋る。
が、自分の知らない話題は、興味が無いからと貝のようになる。
会話になる訳が無いだろう、私達には、聞くという事しか出来ないのだから、
大学の講義、いや、それ以下だ。質問も出来ないのだから、
そりゃ〜便利だ。負け無しだ。いいよ〜!挫折知らず!
馬鹿の一つ覚え〜!


だが、あえて言おう、知らない時点で負けなんだよ!
負けも認めないのなら、負け犬でも無い、
ただの野良犬なんだよ、と、声を大にして言いたい、
経験不足なんだよ、だから、人の痛みが解らない、


私はそれが嫌で、色んなものを拘り無く読んできた。
色んな事を経験した。
それを、今やる人がいない、それはそれで、幸せな事なのかもしれない、
小さな砂山の大将でいれるのだから、
今、「自分だけが良かったら」正に秋葉原事件を象徴する世風、
遠まわしに言ったら、解らない、
はっきりいったら、キレる。
が、好きな女の言う事は、ロデムのように素直に聞く、
「はい、ご主人様!」
兎角この世は生きにくい、、、、


師匠頑張れ!
私も頑張れ!