黄昏ウイスキー 

大阪は京セラドーム前の大人の小さなBAR「BARin」の日記 

金髪の歩く道

僕の歩く道」というドラマをご存じだろうか?
草磲剛氏演じる主人公、彼は「自閉症」なのだが、
その主人公と同じ行動をする人物を、私はよく知っている。
それは伝説の油男、そう名古屋人の従業員「金髪」なのだ。
ドラマを観ながら、ドンドン青ざめていく私がいた。


以前所有していた。木製のヨットなのだが、
船体をぶつけて、メンテしていた時、
へこんだ部分にパテを塗り、盛り上がった部分を
サンダーで削るのだが、その作業を金髪に頼んだ。
するといつまでも磨き続ける。
結果、削れ過ぎて下地が出て、へこんでいる。


又そこにパテを塗り、金髪に磨かせた。
磨いている。磨いている。
結果、下地が出てへこんでいる。
又パテを塗り、磨く金髪、磨く、磨く、削る。
信じられない事なのだが、これが何日も何日も続いた。
これは、終わり方を伝えていなかったからなのだ。
どこで終わるのかが解からないのだ。
しかも具体的に、正確に伝えないと無理のようだ。
ドラマの中でも、主人公の青年に終わりを伝えてなかったため、
いつまでも掃除を続けていた。


ある日想像力を高めさせようと思い、
お前のやりたいように、ヨットを改造しなさいと伝えた。
次の日、すぐ近くに橋があるのだが、数人が川を覗き込んでいた。
行くと大音量で、音楽が掛け、信じられないぐらいの大きな奇声で
歌を歌い、ヨットの上に座り込んでいる金髪がいた。
これはどうしていいのか解からなくなり、パニックを起こしていたのだ、
私はその作業を止めさせた。


よく私は抽象的に「こんな感じで」とか
「こんな風に」と言うのだが、これは頭でイメージを
作る為の指示だ。イメージが膨らまない限り、
カクテルを創作するのは無理だからだ。
しかし一度も伝わらない、
何か訳のわからない物を作る。
木工の作業でも、設計図など書かないので、
口頭で伝えると、不気味な物を作る。
最近は絵で書くように心掛けている。
ようやく伝わるようになった。


音楽も理論や楽譜に異常にこだわるのだが、
私のように感性でギターを弾き、歌う事の意味が
解からないらしい、完璧な設計図のようなものがないと、
不安でパニックになるらしい、


氷を削り、ボールアイスを作るのだが、
教えた日から、削り続けた。何日も、何日も
完全な球体になるまで、削り続けるのだが、
そのおかげで、殆んどの氷が削りカスとなっているのだが、
それにはお構いなしなのだ。
最近注意し、サッカーボールのようにと言うと、
冷凍庫の中はサッカーボールだらけになった。


ロングのアイスも切る時も、テンプレートを
作って渡したら、切り続けていた。
そして、何かに気付き自分流に切り出すようになる。
昼間の作業の時は、どうも自分で5時までと
決めているようで、もう少しやれば明日が楽になる
という時も、時計のように正確に作業を辞め、
何も言わず帰る。


店はどうも午前4時のようだ。
自分の事で話し合っていても、時間が来たら
「帰るで」と言って普通に帰る。
これもドラマの中にあった。
仕入れや、買い物も何度も、売り上げがあった時にと、
伝えてあるのだが、売り上げの有無に関わらず、
無くなれば、正確に仕入れている。
自分の範疇をしっかり守るのだが、
そのお陰で、こちらの支払いはいつも大変だと
言う事は解らないようだ。


私は毎日のように、本を読み、パソコンで調べた。
全く同じような症例をいくつも見つけた。
それを照らし合わせた結果「高機能自閉症」と言う事になった。
これで長年の不可思議な、行動、言動の謎は全て納得が
いった。ウィスキーを飲ませて、コメントを聞くと
いつも頓珍漢な意見が返って来る。
これも症例の一部なのだ。香りや、味が脳で整理出来ないようだ。


確信するためにこんな実験をした。
他人の変化に気付きにくいという事なので、
こんな変な帽子を被って店に入った。

しっかり目を合わせた。これはいくらなんでも
解るだろうと思い、裏で着替えて
こう言った「あの帽子欲しいやろ〜」
帰って来た言葉は「いや、見てませんでした」
やっぱり、、、、


この病気は先天性なものなのだが、
後天的という「ゲーム脳」という仮説を
森昭雄氏が提唱し、物議を醸し出しているのだが、
今、100人に一人という高い割合になっているのは、
このTVゲームに要因があるという、説なのだが、
彼の場合は、先天性だと私は思う、遺伝だと思うのだ。
自閉症」の特徴の一つ、
「飽きない」だが、こんな話を聞いている。
彼の父親は何十年前に発売された。
任天堂の初期型ファミコンで、
たった一つの戦国ゲームを今もやり続けているらしい、
そして壊れたら、もう発売されていないので、
新品の初期型ファミコンを二台在庫しているそうだ、、、